笑いと皮肉を織り交ぜた政治風刺画で知られるアーティスト・福本ヒデが10月30日に新刊「日めくり永田町絵画館」(ワニブックス)を発売する。2019年の「永田町絵画館」以来、7年ぶりの出版となる。

 今回の新作は、曜日に左右されず、毎月繰り返し使える〝永久使用型〟の日めくりカレンダーだ。

 福本は「曜日のない日めくりなので、毎月使えます。1年中、永久にずっと使えます。物価高で毎年カレンダーを買ってられない庶民の味方です」とアピールする。

 収録されるのは、庶民目線で永田町の政治家たちを描いた31日分のパロディ画。裏表紙を含めた全32枚を、この作品のために新たに制作した。

 作品の一つが「総理三十六景」。歴代総理6人の現在の姿を、それぞれ独自の視点で描いている。サーフボードに乗る総理の姿は、順調に時代の波を乗りこなしているようにも、今にも海へ転落しそうにも見える。

 福本は「サーフボードに乗った総理を、軽やかに波に乗ってると見るか、いつ落ちるのか…一触即発、と見るのかは、鑑賞者の自由です」と説明する。

 さらに、31日を飾るのは「最高の晩餐」。レオナルド・ダ・ヴィンチの世界的名画「最後の晩餐」をモチーフにした意欲作だ。原作がキリストと弟子たちの最後の食事を描いたのに対し、福本が題材に選んだのは永田町の世界だ。

 ただし、福本が作品に込めた思いは、単なる政治家批判ではない。 

「風刺、パロディというよりも、希望、願い、祈り、です」

 辛口の笑いの奥には、政治と社会が少しでもよい方向へ向かってほしいという願いが込められている。

 新刊発売を記念し、11月11~14日と18~21日には、東京・世田谷代田の書店「ふくもの堂」で個展「福本ヒデ展~『日めくり永田町絵画館』発売記念~」を開催する。会場には日めくりに収録された作品の原画が並び、「最高の晩餐」は今回が初展示となる。

 展示会場に小さな書店を選んだ理由にも、福本ならではの思いがある。広島県神石高原町で生まれ育った福本。故郷には書店がなく、昔から本屋は最もワクワクする場所だったという。

「年々減少していく本屋さんですが、福本ヒデにとっては昔から一番ワクワクする場所です」

 店名の「ふくもの堂」が自身の名前に似ていることも気に入ったという。

 18日にはギャラリートークも開催。作品に込めたメッセージやパロディへのこだわり、名画を描き始めたきっかけなどを語る。