歌舞伎役者の市川團十郎が28日、大阪市内で舞台「市川團十郎特別公演」(10月3~25日=京都・南座)の取材会に出席した。

 同公演は、團十郎が歌舞伎の世界へいざなう南座秋の特別公演だ。舞台では歌舞伎十八番の名作・勧進帳や新作「荒事 大力天無双」といった演目を狂言仕立てで上演する。さらにロビーには團十郎直筆の絵画や写真を展示予定だという。

 昼の部の「勧進帳」では、團十郎の息子・市川新之助が太刀持ち(富樫=門番・関守)を務めると言い「今回、めずらしく新之助が『太刀持ちを自分でやってみたい』と。高砂屋のお兄さん(中村梅玉)が富樫をするということで、勉強したいという意志が芽生えてきたようだ」と告白。

 昨年10月、南座で上演したインビテーション歌舞伎が好評だったと説明した上で「同じような試みを今度は古典でやっていこうという考えが(劇場と)一致した」。夜の部の挨拶を新之助に一任し「荒事 大力天無双」では物語の進行を新之助に任せたうえで、観客に歌舞伎体験をさせると解説した。

 團十郎は三池崇史監督が手がける初のドキュメンタリー映画「襲名」(9月25公開)にも言及。そこには新之助の成長も記録されているという。

「あの時(團十郎が演じた勧進帳の弁慶)の映像が流れるんです。父や11代目の祖父との時間軸の中で勧進帳が流れていく。(歌舞伎に)向き合って生きている家族なんだなってことを改めて感じ、胸熱でしたね」

 なかでも力を込めたのは、2019年7月に13役早替わりに挑戦した「成田千本桜」の時のこと。團十郎は体調を崩し休養。新之助が出演した歌舞伎座の様子は知らなかったそうだが、今回映像で見て「もう複雑でしたね。涙も出ましたし。こんな思いさせてしまったんだなとか、こういう風に乗り越えてくれたんだなとか、すごく感動しました」と吐露。

 続けて「そういう幼い時のせがれと(これから)14歳になる、考えも大人になっていく段階の中で、しっかりと歌舞伎に向き合おうとしている姿勢に心打たれます」と感慨深げに語っていた。