【ムーヴィーズ/ホルガー・シューカイ(1979年)】
ドイツの前衛的プログレッシブバンド、カンのベーシストだった奇才ホルガー・シューカイのソロセカンドアルバム。
収録曲はわずか4曲ながら、彼のキャリアの中では最高傑作とされる。A面1曲目「クール・イン・ザ・プール」とB面1曲目の「ペルシアン・ラヴ」が突出して素晴らしいポップソングなのだ。
他の2曲はカン時代のような前衛的なインプロヴィゼーションとなっているだけに、この2曲はより輝いて胸に響く。ピーター・バラカン氏の熱心なリスナーなら「クール――」はもうおなじみだろう。同氏はもう30年以上も毎年、夏になるとこの曲を自身の番組でプレイし続けている。「さあ、プールに入って涼しくなろう」という無邪気なポップソングだが、天才的な感性による音の切り貼りとコラージュがいかんなく発揮されており、サンプリングの先駆者的存在でもあった。
そして「ペルシアン・ラヴ」。短波ラジオから拾ったというイラン人歌手の歌声と、美しいアコースティックギターを見事に融合させ、様々な音源の見事な編集により異国情緒にあふれる美しいナンバーに仕上げた。聴くたびに行ったこともない見たこともない異国の夕暮れを思い起こさせる切なさに満ちた名曲だ。
同曲は日本でもウイスキーのCMで使用されスマッシュヒットとなった。アルバムは入念な編集が施された「ハリウッド・シンフォニー」で幕を閉じる。ホルガーはその後も元ジャパンのデヴィッド・シルヴィアンや、元PILのベーシスト、ジャー・ウォブル、U2のジ・エッジらとコラボレーション作品を発表し、2017年に79歳で亡くなった。永遠に残る名盤である。












