【ブラック・アンド・ホワイト/ザ・ストラングラーズ(1978年)】
パンク・ムーブメントの最中の1977年にデビューしたバンドの3枚目にして最高傑作。前作「ノー・モア・ヒーローズ」(77年=全英2位)で一気にシーンの中心になるや、ほとんどプログレのような今作を作り上げた。メンバーのほとんどが他のバンドより年齢が高く、ボーカルのヒュー・コーンウェルとベースのジャン=ジャックは大卒で、ドラマーのジェット・ブラックはデビュー時、38歳だった。
楽曲の性急かつ攻撃的な疾走感、一切のセンチメンタリズムを排除したハードで鋭い音は聞く者の感情を削るように迫ってくる。中心となるのは、ほとんどリードベースともいえる、ジャン=ジャックのゴリゴリと固く起伏に富んだベースライン。その上にデイヴ・グリーンフィールドのキーボートが重なり、ブラックがタイトなドラムを鳴らす。そしてヒューの切羽詰まったボーカル。4つのピースが完璧に結束した奇跡的なアルバムだ。
A面は性急な「タンク」から異常なほどテンションの高いベースラインの「ナイスン・スリージー」、「ヘイ!」「スウェーデン」とスピード感満載のナンバーが続く。ジャン=ジャックのベースが曲を引っ張り、ヒューが性急なボーカルをぶつける「トイラー・オン・ザ・シー」で終わる。
B面はこれまた切迫感の塊のような「夜を告げる鐘」で始まり、三島由紀夫を題材にした「デス・アンド・ナイト・アンド・ブラッド」から、ラストの不気味な「イナフ・タイム」まで息をもつかせぬうちに幕を閉じる。
バンドは変遷の末、80年代には「ゴールデン・ブラウン」(82年=全英2位)などメロディアスなヒット曲を多く生んだ。それだけにこのアルバムの異常なまでの性急さと緊張感は、パンク史上に残る金字塔でもあった。












