【オール・ディレクションズ/ザ・テンプテーションズ(1972)】
1960年代のモータウン全盛期に「マイ・ガール」などの大ヒットを量産してレーベルの看板グループとなったテンプテーションズが、一気に方向転換してニュー・ソウルの影響下でリリースした大傑作アルバム。全米2位を記録した。
鬼才ノーマン・ホイットフィールドをプロデューサーに迎え、新たなプログレッシブ・ソウルともいえるジャンルに挑んだ結果、A面3曲目の「パパ・ウォズ・ア・ローリング・ストーン」というとんでもない作品を完成させた。このアルバムはB面の甘いバラードなども優れているが、とにかく11分45秒のこの大作に尽きる。
元歌は同じモータウンのグループ、ジ・アンディスピューテッド・トゥルースが同年前半に出したシングルだが、原曲をほとんど無視したようなノーマンのアレンジは声を失うほどだ。緊張感のあるハイハットから始まり、簡素な3音の重いベース、ワウワウがかかったギター、手拍子、重く響くボーカルのハーモニーなど、ヘビーで暗いが時代を象徴した完璧な作品に仕上がっている。当然ながら全米1位(7分に編集)を記録し、後年にまで語り継がれる名曲となった。
当時、全盛期だったスライの影響も見え隠れするが、グループの吸収力も優れていた。アルバムはカバーが多いが、いずれも当時の実験的な音楽の要素に満ちている。
73年のグラミー賞で最優秀ヴォーカルR&Bパフォーマンス・グループ賞など3部門を受賞。テンプテーションズは第2期黄金時代を迎え、優れたニューソウル作品を生み続ける。












