“女芸人マニア”として知られているお笑いコンビ「馬鹿よ貴方は」の新道竜巳が、これから“馬鹿売れ”しそうな女芸人を紹介するこの連載。今回は少し趣向を変え、すでに売れっ子で“女芸人の生ける伝説”と言うべき女性トリオ・森三中の“馬鹿売れ前夜”を振り返ってみた――。
最近、女芸人は増えてますが、女性コンビは意外と少なく、ピン芸人か男女コンビが多いと感じます。女性トリオになるともっと少ない。売れているとなると、3時のヒロインと森三中ぐらいじゃないでしょうか。
中でも森三中は、女性が体を張って笑いを取っていた時代に最先端を走っていたトリオです。周囲に評価されるのも早く、NSC在籍時から話題になっていた。デビューは1999年ですが、2001年にはもうテレビに出ていました。まだ賞レースもない、どうやったら売れるのか全く分からない時代に「面白い」ということだけで這い上がってきた。すごいとしか言いようがない。
森三中はデビュー当時、大島美幸さんと村上知子さんの2人が前に出て、どんなことでも乗り越えてきました。テレビでボケる時は、芸歴2~3年目でも大先輩に平気でかみつく、男性サウナに全裸で入る。必ず爪痕を残し、お茶の間を笑わせました。
大島さんと村上さんはイジられる才能が高く、強めにイジってもそれをはね返す瞬発力、怒っても面白く見える立ち回りで外すことがない。当時の森三中が面白過ぎて、それ以降はしばらく女芸人が出てこられず、売れづらい時代があったように感じます。
平場の立ち回りがうま過ぎるからあまり気づかれていませんが、実はネタもメチャクチャ面白かった! NSC東京校4期生は“華の4期”と言われ、森三中の他、ロバート、インパルス、椿鬼奴、POISON GIRL BANDなど、そうそうたるメンバーがいました。
01年にルミネtheよしもとがオープンすると、メインライブの「7じ9じ」にレギュラー出演してましたが、本来はここに出演するのも大変。デビューから2年で、なんでルミネtheよしもとという大きな会場でお客さんを笑わすことができるのか? 芸歴20年でもできない人は多い。当時は魔法使いを見ているようでした。
3人とも誰ともかぶらないキャラクターで無理なく自然に演じ、印象も残す。お客さんがドカドカ笑う。道具もほとんど使わない。当たり前だろと言われるかもしれませんが、これは並大抵のことではありません。
ルミネtheよしもとは新宿駅の駅ビルにあり、多くの有名人が出る劇場なので、お笑いファンだけではなく観光客やあらゆる人が入れ代わり立ち代わりで入ってくる。なので腕のある人でもウケない、なんてこともザラである。それなのに自分たちの流儀でしっかりコントでウケる森三中はまぶし過ぎる存在でした。
コントではなく漫才をされることもありました。当時、近況を漫才にする“エピソード漫才”というムーブがあり、ロバート、極楽とんぼ、雨上がり決死隊などが連日満員の会場を盛り上げてました。有名な芸人さんはやはり話術があって、見ていて魅了されてしまいました。
森三中のネタが面白いのは、ネタ作りを担当する黒沢かずこさんの力が大きかったと思います。ただ、黒沢さんは当初、強烈な個性を持つ大島さんと村上さんの陰に隠れ、おとなしい印象が否めませんでした。しかしこのあたりから、黒沢さんは強烈な才能をあらわにしてきます。
“千手観音かずこ”というキャラクターで一人で歌って踊って笑いをさらっていくようになり、しまいには黒沢さん一人でトーク番組に出て爆笑を起こすようになっていきました。今では、当初感じていた「おとなしい」「個性がない」といった印象がウソだったように、強烈な個性を発揮しています。
今後は森三中の冠番組を見てみたい。ファンとしては、森三中が講師になって昔の女芸人の求められ方や過酷な仕事、NGを出した仕事、さらに今の女芸人について語るようなものを見てみたい。それほど森三中は“女芸人の生ける伝説”と言っても過言ではないほどの存在だと思います。
☆しんどう・たつみ 1977年4月15日生まれ、千葉県出身、本名・濱島英治郎。平井“ファラオ”光と組む「馬鹿よ貴方は」として「THE MANZAI」「M―1グランプリ」で決勝進出を果たした実力派。緻密なネタ作りに定評がある一方、女芸人ナンバーワン決定戦「THE W」では、予選会場に足しげく通い、ほとんどの出場者のネタを見るほどの“女芸人マニア”。












