“女芸人マニア”として知られているお笑いコンビ「馬鹿よ貴方は」の新道竜巳が、これから“馬鹿売れ”しそうな女芸人を紹介するこの連載。今回は少し趣向を変えて、女芸人にとって最大の目標と言える賞レース「THE W」について、新道独自の見方で考察してみた――。

 昨年の「THE W」はニッチェが優勝。紺野ぶるまとエルフが準優勝でしたが、今年はこの2組を中心にした優勝争いが展開されると思います。

 一方で昨年は、決勝に初進出した芸人さんもかなりいた。ヤメピ、パンツ万博、もめんと、電気ジュース、とんでもあやなど。彼女たちは実力もあり、今年も有力候補だと思いますが、「THE W」は決勝に初進出した芸人が翌年、苦戦することが多い大会でもある。というのも初めて決勝進出した芸人が、翌年も決勝に行ったことはここ3年間で1回もないんです。

「THE W」は、無名の若手が決勝進出することが多いイメージがある。確かに他の賞レースよりは新顔が決勝に行きやすいのは事実ですが、2年連続で決勝に勝ち上がるのは非常に難しい。その理由は、新顔の芸人が決勝に勝ち上がる理由の一つに「インパクト」があるからだと思います。

 もちろんインパクトがあるからこそ決勝初進出を果たせるのですが、一度見ると見慣れてしまうためインパクトが薄まり、翌年には勝ち上がるのが難しくなってしまう。また、そんなに技術が高くなかった芸人が中途半端にうまくなると、とたんに評価されなくなるという側面もあります。こういう芸人は本当に技術が完成するまでなかなか評価されず、地下をさまよう活動になってしまうことが多いんです。

 そうなると「初の決勝進出で優勝する」のが一番いいのですが、「THE W」はそれが最も難しい大会でもある。他の賞レースなら、たとえば昨年の「M―1グランプリ」のたくろうのように強烈なインパクトを残して“初決勝で優勝”ということはよくあります。でも「THE W」では2020年に優勝した吉住以降、オダウエダ、天才ピアニスト、紅しょうが、にぼしいわし、ニッチェと、いずれも過去に決勝進出歴がある芸人が優勝しているんです。

 その前の大会を見ても、17年の第1回大会がゆりやんレトリィバァ、18年の第2回が阿佐ヶ谷姉妹と知名度のある芸人が優勝。世間的に無名の芸人が決勝初進出で優勝したケースは、19年の3時のヒロインだけです。

 そうなると優勝の可能性が高いのは、キャリアがあって技術も高い、安定感のある芸人さんになります。まあこれは当たり前すぎる解説ですが…。昨年最終決戦に残ったのもニッチェ、エルフ、紺野ぶるま。結局はキャリアも知名度もある芸人が勝ち上がっています。

 ベテランは腕がある分、連続で決勝に勝ち進むことが多いし、優勝する可能性も高くなってくる。そうなると今年の優勝候補は、前述した紺野ぶるま、エルフに加え、準決勝で惜しくも敗退したベテラン勢になるでしょう。候補はアルミカン、おかずクラブ、オトメタチ、河邑ミク、キンタロー。、馬場園梓、変ホ長調、ぼる塾、マリア…。このあたりが今年の優勝候補と言えるのではないでしょうか。

 ただ昨年は準決勝に進出していなくても、腕利きの芸人が今年突然、勝ち上がってくることもある。それどころか昨年参加していなかった芸人さんが急に参加して優勝をさらっていくこともある。ホントにどうなるか? 目が離せないところです。

 よく新顔が決勝に行くので「若手の大会」と錯覚して出場しないベテランもいますが、優勝だけで見るとベテランの大会と言える。やはり長い年月を費やして活動してきた下積みにかなうものはない。実力のある芸人さんはこぞって出場した方がいいと私は思います。

 また「THE W」には、他の賞レースにはないルールが存在します。それは「併願エントリー可能」というもの。1人の芸人が「コンビとピン」とか「グループとコンビ」といった感じで、2エントリーまで参加できるんです。「このコンビで優勝したい!」「ピンで決勝に行きたい」というこだわりを捨て、とりあえず併願エントリーするのが「THE W」攻略法の一つだと思います。

 ☆しんどう・たつみ 1977年4月15日生まれ、千葉県出身、本名・濱島英治郎。平井“ファラオ”光と組む「馬鹿よ貴方は」として「THE MANZAI」「M―1グランプリ」で決勝進出を果たした実力派。緻密なネタ作りに定評がある一方、女芸人ナンバーワン決定戦「THE W」では、予選会場に足しげく通い、ほとんどの出場者のネタを見るほどの“女芸人マニア”。