“RESTART”は今も続く――。福岡発のアイドルグループ「LinQ」の1期生で、2代目リーダーを務めた天野なつ(32)は、解体・再開発プロジェクト、両ヒザの靱帯損傷、卒業という激動を経て、現在はソロアーティストとして東京を拠点に活動している。グループを支えた日々から、ソロとしてステージに立ち続ける今、その思いと見据える夢に迫った。
17歳でLinQに加入した当初は、「歌とダンスは元から好きだったけど、当時の自分がステージに立てるなんて思ってもいなかったので、芸能界に入りたいという気持ちはそこまでなかった」。姉と親交のあった初代リーダー・上原あさみとの縁でオーディションを受け、「とりあえず飛び込んでみるか」という感覚だった。だが、説明会でスタッフ陣の熱量や本格的な体制を目の当たりにし、「本気のプロジェクトなんだ」と衝撃を受けた。活動初期は客席が埋まらず悩む日々だったが、初の東京遠征で大きな反響を実感。「福岡でやってきたことが間違いじゃなかった」と感じた。
転機は2代目リーダー就任だった。「本音で言うと嫌でした」と笑う。一度は断ったが、「グループの中心にいてほしい」という周囲の声に背中を押された。上原が“ついてこい型”だったのに対し、自身は「コミュニケーション型だった」と振り返る。当時のLinQは20~30人規模の大所帯で、選抜制度も厳しかった。メンバーの入れ替わりも激しく、「誰かしらが落ち込んでいた」ことから、グループ内の空気を明るく保つことを強く意識していた。
その後、解体・再開発プロジェクトという大きな転換期が訪れた。さらに両膝の靱帯を損傷。右膝は手術を受け、約1年間の休業を余儀なくされた。「人生の中でも一番の試練だった」と明かす。それでも卒業ライブには「RESTART」と名付け、「前に進みたかった」と語った。
現在は東京を拠点に、ソロアーティストとして活動する。上京直後にコロナ禍へ突入したが、「解体・再開発とケガに比べたらまし」と前を向き、曲作りに没頭。FM FUJIのラジオ番組出演に加え、フリーライブや6月27日に東京のライブスタジオ・ロッジで開催予定のアコースティックワンマンライブなど、活動の幅を広げている。通りすがりの人の反応がダイレクトに伝わるフリーライブは「自分の腕を試される場所」だ。「この曲は立ち止まってくれる人が多い、とか、反応がすぐ分かる」と話し、「ライブハウスとは全然違う面白さがある」と目を輝かせた。
ソロ転向後は「寂しさもあったが、ソロなりの自由度が広がった」と話す。「LinQ時代はリーダーとしての発言を気にし過ぎてた部分もあったのでMCは苦手だった」と打ち明ける一方、「今は自分の責任だから自由」と前向きだ。コロナ禍には、劇団「トキヲイキル」で関わりのあった柏原収史の後押しもあり、曲作りに本格的に取り組んだ。これまで34曲を制作し、そのうち19曲で作詞、9曲で作曲を手がけた。「アイドル時代は恋愛経験が少なくてドラマや漫画を見て勉強していた」と笑い、現在は自身の恋愛経験も表現に落とし込みながら音楽活動を続けている。
プライベートでは、さまざまなマイブームがあり、今はお笑いライブに夢中だ。月4回ほどよしもとの劇場へ通い、「MC力の勉強になる」と分析。福岡へ帰省した際は、やわらかい麺で親しまれる「牧のうどん」や「肉肉うどん」、鯛茶やいかの活き造りが名物の「割烹よし田」を訪れるのが楽しみだ。
今年の目標は、2枚目のアルバム制作と、10月24日に浅草花劇場で開催する8周年ワンマンライブの成功。そして将来の夢は「武道館」。「ライブが一番好き」。その言葉通り、天野なつは今もステージを追い続けている。















