夏冬通じ五輪で日本女子最多となる10個のメダルを獲得したスピードスケートの高木美帆(TOKIOインカラミ)には、競技人生を大きく変えた〝言葉〟があった。

 高木が長きにわたって指導を受けたヨハン・デビット氏は、2015年5月からナショナルチーム(NT)の中長距離ヘッドコーチに就任。NTを退任後は高木と二人三脚で歩んだ上で、23年には「team GOLD(チームゴールド)」を結成し、佐藤綾乃ら国内外のスケーターとミラノ・コルティナ五輪まで走り続けた。

 今季限りで現役を退く日本のエースは、6日に都内で引退会見を実施。「ヨハンが(NTの)ヘッドコーチになった時に最初に教わったマインドセットの中身は『どんなことをするにあたってもプロの意識を持つように』だった。その意識の持ち方が自分にとってすごくフィットしていて、どの決断をするにしてもプロのスケーターだったらどういう行動をするんだろうと考えて意思決定することが増えていた」と振り返った。

 当時の高木は「自分にどうしても甘くなってしまっていた」と、甘いものを食べたり、夜更かしをすることもあったという。それでも、ヨハンの金言を通じて「教わってきた中身だったり、自分が想像するプロってどういうものなのかをつくって、プロ意識を持ち続けるようになった。スピードスケートに対して常に向き合い続けるところだったり、全ての自分の時間を可能な限りスケートに費やすようになった」と意識が大きく変化した。

 五輪以外でも2019年3月に1500メートルで1分49秒83の世界新記録をマーク。W杯では日本人最多となる通算38勝を挙げたエースは、プロとしての矜持を持って氷上に立っていた。