【サザン・ナイツ/アラン・トゥーサン(1975年)】
アレンジャー、作曲家、プロデューサーとして1960~70年代のニューオーリンズのR&Bを支えた立役者が、75年に発表した名作中の名作。自らのルーツである南部音楽を徹底的に追求した完璧な1枚だ。
とにかく寸分の隙もない。ファンキーでありながらメロディーは美しくポップスの見本のような名曲が並ぶ。冒頭を飾る「ラスト・トレイン」から流れるように軽快な「ワールド・ワイド」へと続き、郷愁的なメロディーでニューオーリンズの美しさを歌った「サザン・ナイツ」、ボズ・スキャッグスやローウェル・ジョージら後に多くのミュージシャンにカバーされた「あの娘に何をさせたいの」など米国音楽のクラシックがズラリと並ぶ。「サザン・ナイツ」はグレン・キャンベルが77年にカバーして全米1位を獲得している。
大物ミュージシャンからも尊敬を集め、ポール・マッカートニー率いるウイングスの名作「ヴィーナス・アンド・マース」でピアノを弾き、ザ・バンドのホーンアレンジャーを務めるなど、まさに当時の音楽界の「宝」であった。
セールス的には振るわなかったが、発売から50年が経過した現在も高い評価は変わらない。R&Bの見本のような奇跡的な1枚である。
表題曲は聴くたびに南部の夕暮れの空を見上げているような切なさに思わず胸が締めつけられる。ジャンルを超えて永遠に聴き継がれるべきマスターピースである。












