今の大関に足りないものとは――。大相撲秋場所8日目(21日、東京・両国国技館)、大関琴桜(27=佐渡ヶ嶽)が小結高安(35=田子ノ浦)の下手投げに屈して3敗目。今場所は5場所ぶりの連勝発進で好スタートを切りながら、痛恨の連敗で優勝戦線から大きく後退した。V争いの先頭を争う両横綱と、失速した大関の差はどこにあるのか。兄弟子で元大関琴奨菊の秀ノ山親方(41=本紙評論家)が徹底分析した。

 琴桜が大関経験者の高安に痛恨の黒星を喫した。右四つに組んだが、まわしに手が届かない。体をあずけながら寄ったところを土俵際で残されると、相手の下手投げに屈して土俵に腹ばいになった。取組後の支度部屋ではうつむいたまま、しばらく沈黙。その後、か細い声で「切り替えていきます」と言葉を絞り出した。

 今場所は5場所ぶりに連勝発進。6日目まで1敗と、優勝争いの期待も膨らみかけた。しかし、7日目から2連敗で大きく後退してしまった。秀ノ山親方は「今場所の琴桜は序盤から前に出る相撲を心掛けているように見えた。ただ、この連敗は攻め急いでしまった印象。高安戦も上手を取れず、安易に出たところで投げられた。気持ちの焦りが出てしまった」と分析する。

 琴桜は昨年11月の九州場所、14勝の好成績で初優勝。その後は5勝、8勝、8勝、8勝と低空飛行が続いている。その間に同じ大関だった豊昇龍(26=立浪)と大の里(25=二所ノ関)が相次いで横綱に昇進。今場所も、賜杯レースで両力士に後れを取る展開となった。いったいどこで、両横綱と差が開いてしまったのか。

 秀ノ山親方は「両横綱と比べると、琴桜には勝負どころの厳しさが足りない。この日の豊昇龍は攻め込まれても、強引に投げずにこらえて攻め返した。大の里も相手に前みつをガッチリ引かれたけど安易に下がらず、はさみつけるようにして前に持っていった。琴桜にも、攻防の中での我慢が必要。攻め急がず、ひと呼吸置いて自分の形がつくれれば持ち味の懐の深さが生きてくる」と指摘した。

 このまま低迷が続けば、念願の横綱の地位は遠のくばかり。後ろを振り向けば、関脇若隆景(30=荒汐)や新小結安青錦(21=安治川)らが大関の地位を虎視眈々と狙っている。秀ノ山親方は「気持ちを切り替えることも大事だけど、それ以上に負けた相撲と向き合うことが大事。しっかり自分の相撲を見直して、何が足りなかったかを研究すること。どっしりと構える琴桜の相撲を取り戻してほしい」と弟弟子に奮起を求めた。

 初賜杯から、まもなく1年がたつ。和製大関は長いトンネルから抜け出すことができるのか。