【オーティス・ブルー/オーティス・レディング(1965)】

「ソウルの巨人」にして不世出のシンガー、オーティスのサードアルバム。最高傑作の評価が高く、ビルボードのR&Bチャート1位を記録。オーティスのすごさを世に知らしめた名盤中の名盤だ。

 とにかく声と全身がリズムの塊のような迫力に圧倒される。どの曲も「いつ燃え尽きてもいい」という切迫感に満ちており、まさに全身全霊という言葉がふさわしい。冒頭の「オール・マン・トラブル」から、たたみかけるような「リスペクト」、代表曲の「愛しすぎて」などは、もはや魂の叫びである。

 カバー曲も多いがサム・クックの「チェンジ・ゴナ・カム」「ワンダフル・ワールド」、テンプテーションズの「マイ・ガール」などの名曲群はほとんどオリジナルを無視したかのようなオーティス色に染まっている。特に名曲「チェンジ~」はサムのバージョンとは別の感動が聴く者に突き刺さる。

 ローリング・ストーンズの「サティスファクション」などは原曲を超える性急さと迫力。この時期のライブ盤は多数出ているが、怒りや悲しみなどあらゆる感情を内包した肉声はどれもこれもソウルの枠を超えた迫力に満ちている。

 バックを務めるのは、スタックスの看板バンドでスティーヴ・クロッパーやアイザック・ヘイズを含むブッカー・T&ザ・MGズ。エンジニアは名手トム・ダウド。MGズの名演奏と一体になって出すグルーブは、絶対にまねできないものだ。その後、オーティスは名盤を出し続け、67年に飛行機事故のため26歳の短い生涯を閉じる。しかしこのアルバムの迫力は永遠に輝き続ける。