想像以上に奥が深いごみの世界――。お笑い芸人として活動しながら現在も清掃員としても働く「マシンガンズ」の滝沢秀一(48)とコンビニ店長として勤務経験のある流通ウォッチャーの渡辺広明氏(57)がごみをテーマにあらゆる角度から奔放トーク。今年4月からプラスチックごみの出し方が変わる自治体も多いので必読だ。
渡辺広明(以下渡辺) 僕が住んでいる横浜市では4月から市内全域でプラスチックごみの出し方が変わります。これまでは「燃えるごみ」だったプラスチック製品が資源として、既に始まっていた「プラスチック容器包装」と一緒にプラスチック資源として一緒に回収されるんだって。
滝沢秀一(以下滝沢) 容器包装と製品をまとめて回収するいわゆるプラスチック一括回収ですね。これは2022年4月に施行されたプラスチック資源循環法に基づいたもので、各市町村が取り組んでいます。
渡辺 大きく見ればペットボトルもプラスチックの一種なんだけど、ペットボトルの回収はだいぶ先に進んだよね。
滝沢 そもそもPET(ポリエチレンレフタレート)という単一素材でリサイクルしやすいんですよ。使用済みペットボトルが新たなペットボトルに生まれ変わる「ボトルtoボトル」を大手飲料メーカーが主導したことも背景にあると思います。
渡辺 僕がコンビニ店長していた1990年代の始めにはまだペットボトルが2リットルの製品しかなくて、96年に500ミリリットルが出たんですね。最初は缶と一緒の「燃えないごみ」で集めてた。今じゃ逆に缶の飲み物が減った。
滝沢 はい、特に缶コーヒーですね。2010年代にコンビニコーヒーが登場したら、プラカップのごみが増えたし、2017年に「クラフトボス」(サントリー)がヒットしたらペットボトルコーヒーが圧倒的になりました。ごみを見てるとトレンドの変化を感じますよ。古紙回収からもエロ本が消えましたし(笑い)。
渡辺 コンビニから成人誌が消えたのがもう6年前か…。滝沢さんはご存じだろうけど、意外とみなさん知らないのがコンビニのごみは一般事業廃棄物で、その処理費用は基本的にほぼオーナー負担だということ。決して無料のごみ箱じゃないんです! 家庭ごみの持ち込みが後を絶たないから店頭から店内に移動するところが増えてしまったし、繁華街などでは設置しない店もあります。トイレの貸し出しもしかりですよ。
滝沢 残念だけど、不届き者はいなくならないですからね。清掃員の目線で気になるのは、今〝一番危険なごみ〟になるものがコンビニでも販売されているところ。渡辺さん、何かわかります?
渡辺 え、何だろう? 思いつかないです。
滝沢 スマホの充電器に使われているリチウムイオン電池です。家庭ごみに混ぜて捨てられると、収集車の中で強い圧力を受けて発火して、収集車火災が多発しているんです。今年1月には埼玉県川口市のごみ処理場が火災となり、本格復旧には1年超、数億円の費用がかかると言われてます。収集車も1台1000万円くらいする高価なものだし、処理施設が動かなくなったらどこか別のところに処理を委託せざるをえない。
渡辺 リチウムイオン電池ってあらゆる電化製品で使われてますよね。電子タバコもそうか。どうやって捨てるのが正解なんですか?
滝沢 これも自治体によって異なるので一概には言えません。端子部分に絶縁テープを張って出したり、区の回収窓口に持ちこんだり、家電販売店だったり。ただ、膨張している電池は「発火するから…」と引き取ってもらえない場合もあって本当に大変ですよ。
渡辺 そんなにヤバいものだとみんなが知らずに使っているところがさらに厄介ですね…。容易に捨てられないものをできるだけ買わないように心がけないといけない。
滝沢 その通りです。コードレス掃除機の非純正バッテリーなんかは発火事故が相次いでいるから買ってはいけない。安物買いの銭失いになっちゃいます。
渡辺 ごみ削減という観点ではどうでしょう? 食品ロスが叫ばれるようになって〝てまえどり〟する人が結構増えたように僕は感じている。
滝沢 減らすという意味では紙とプラと食品ロスですね。うちは子ども2人でオムツもあったんですけど、昔は1回、(45リットルの袋)3袋くらい出してたのが、今では週に1袋ぐらい。だいたい可燃ごみの40%が食品ですね。紙(可燃ごみの16%)、プラ(同9%)は資源になるので、きちんと分別すれば3割弱が資源になります。ということは3袋のうち1袋はもうごみじゃなくて資源なんです!
渡辺 そんなに減るんだ。大人が意識を変えていないといけませんね。
滝沢 はい。今の子供たちって学校の授業でSDGsやリサイクルを習ってきているから、圧倒的に大人よりごみに対するリテラシーが高いと思いますね。
渡辺 若い人にはミニマリストが増えたけど、中高年のほうがいまだにタイムセールに弱くて無駄なものを買いがちなんですよ(笑い)。
滝沢 「使わなきゃ捨てればいいや」を変えないといけない。海外のごみを研究している友達がいるんですけど、途上国もそうなんですって。シャンプーとかもボトルで買ったら割安なのに、そのお金がないから1回の使い切りを買ってその分、ごみが増えると…。逆にごみ収集して感じるのはお金持ちが多く住んでいる高級住宅地ほどごみ自体が少ないし、分別もしっかりされています。
渡辺 ごみにも貧富の差が表れると。
滝沢 お金持ちは全方向に意識が向いているんでしょうね。この間、ごみ屋敷の友達の家を片付けたら現金15万円くらい出てきたんですね。ひとつひとつきちんとしていないからなんですよ(笑い)。ごみが少ないところのほうが長寿だという話もありますよ。
渡辺 ごみを減らしたほうがお金持ちになるし、長生きもする。今日はいい話を聞きました。
☆わたなべ・ひろあき 1967年生まれ。静岡県浜松市出身。「やらまいかマーケティング」代表取締役社長。大学卒業後、ローソンに22年間勤務。店長を経て、コンビニバイヤーとしてさまざまな商品カテゴリーを担当し、約760品の商品開発にも携わる。フジテレビ「Live News α」コメンテーター。Tokyofm「ビジトピ」パーソナリティー。本紙でも記事連載中。
☆たきざわ・しゅういち 1976年生まれ。東京都出身。98年に西堀亮とお笑いコンビ「マシンガンズ」結成。2012年、定収入を得るためお笑い芸人の仕事をしながらごみ収集会社に就職。二足のわらじで活動し、18年に「このゴミは収集できません」(白夜書房)を刊行。20年に環境省から「サステナビリティ広報大使」に任命される。23年THE SECOND準優勝。















