大快挙まで「あと1勝」だ。大相撲春場所13日目(22日、大阪府立体育会館)、新入幕尊富士(24=伊勢ヶ浜)が関脇若元春(30=荒汐)を破り、12勝目(1敗)。後続と2差をキープし、優勝に王手をかけた。

 攻め続けた。左四つの体勢から、すかさず右を巻き替えてもろ差し。相手に反撃の隙を与えず、そのまま一気に寄り切って勝負を決めた。取組後は「少しでも止まったら絶対勝てないと思った。とにかく自分から動いて、動いて相手の形を崩して攻めようという気持ちでやりました」と会心の相撲を振り返った。

 前日12日目は初日からの連勝が11でストップ。「昭和の大横綱」大鵬の記録更新はならなかった。大阪市内の宿舎へ戻ると、兄弟子の横綱照ノ富士から電話があった。「上位陣には立ち合いだけでは通用しない。技術でも勝てるように」などとアドバイスをもらった。

「立佞武多(たちねぷた)」の化粧まわしを披露した尊富士
「立佞武多(たちねぷた)」の化粧まわしを披露した尊富士

 この日の幕内土俵入りでは青森・五所川原市の後援会から贈られた「立佞武多(たちねぷた)」のデザインの化粧まわしを締めて気分一新。「似合ってました? 思いを背負ってやろうと。力になってます」と地元の期待を感じながら勝負に臨んだ。

 打ち出し後には14日目(23日)の取組編成会議が開かれ、元大関の幕内朝乃山(30=高砂)との対戦が組まれた。勝てば1914年5月場所の両国以来110年ぶりの新入幕Vが決定する。まだ大銀杏も結えない、ちょんまげの尊富士は「勝っても負けても、自分の相撲を取る」。歴史的偉業は、すぐ目の前にある。