政権支持率が最低を更新している岸田文雄首相がKYな言動を連発している。求められていないにもかかわらず衆院政治倫理審査会への出席に手を挙げ、与野党は混乱。北朝鮮への訪朝にも前のめりで、金正恩朝鮮労働党総書記にいいように利用されかねない。

 岸田首相は28日、自民党派閥の裏金問題を受けた衆院での政倫審(29日、3月1日)に突如、自身が出席するとした。

 岸田首相の出席要請はされていなかっただけに立憲民主党の安住淳国対委員長は「理由がちょっとよくわからないので、確認した。総理自らが範を示したいということで政倫審を使おうと思った可能性はある」と指摘。与党内からも岸田首相のパフォーマンスに困惑する声が出ている。

 支持率20%台の危険水域にある岸田首相は派閥の解消や首相として初となる政倫審出席など、なりふり構わない手に出ているが、訪朝カードも切りたくて仕方がない様子だ。

 岸田首相は就任時から「条件を付けずに金正恩委員長と直接向き合う決意」と表明しており、昨年秋には「首脳会談を実現すべく、私直轄のハイレベルでの協議を進めていく」と踏み込んだ。今月には「大胆に現状を変えなければならない必要性を強く感じる」とすでに訪朝の話がついているかのような口ぶりだ。

 北朝鮮側も能登半島地震が起きた際に正恩氏が岸田首相に見舞いの電報を送れば、妹の金与正党副部長は「岸田文雄首相が平壌を訪れる日が来ることもあり得る」との談話を15日に発表している。

 朝鮮半島情勢に詳しい拓殖大学客員教授の高永喆氏は「金正恩委員長の見舞い電報だけでも異例だったが、『岸田文雄〝閣下〟』と記し、最高の礼を見せた。北朝鮮は反日路線を長く取ってきたが、融和路線に切り替えるターニングポイントと踏んでいる。ちょうどサッカーで両国が対戦し、関係者の協議の場ともなる。米中が国交正常化した時のピンポン外交の先例がある」と指摘。

 28日には北朝鮮の女子サッカー代表が国立競技場で試合を行った。3月には両国の男子サッカー代表がW杯アジア2次予選で、東京と平壌でホーム&アウェーで対戦する予定。同時に政府関係者の協議が進むとみられる。

 ただ、岸田首相は訪朝したいばかりに正恩氏に足元を見られているのではないか、という危惧もある。

「北朝鮮からすれば安倍元首相より岸田首相の方がくみしやすいでしょう。金与正氏は談話で、拉致問題が解決済みとの条件付きで岸田首相の訪朝に触れています。岸田首相は支持率を挽回できるチャンスととらえていて、無条件で訪朝する可能性もある。もちろん拉致問題を解決したい思惑はあるでしょうが、前段階で東京と平壌に連絡事務所を設置し、その先に国交正常化や拉致問題解決のレールづくりが望ましい」(同)

 男子代表が対戦するころには水面下での交渉を終え、春には訪朝する環境が整うのか。〝外交の岸田〟を自負するが、訪朝の実績づくりのために北朝鮮を利するだけの条件とならなければいいが…。