スーパーマッチの行方は――。ボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥(30=大橋)が、WBC同級1位ルイス・ネリ(29=メキシコ)と5月6日に東京ドームで防衛戦を行う方向で最終調整に入る中、悪童の〝前科〟が懸念されている。ネリは過去に体重超過やドーピング騒動で波紋を広げた問題児。日本ボクシングコミッション(JBC)の安河内剛事務局長(62)が取材に応じ、ネリの資格停止処分解除や〝再犯防止策〟などについて見解を語った。

 プロボクシングで2023年度のMVPに輝いた井上は19日、新鋭賞を受賞した〝神童〟那須川天心(25=帝拳)らとともに都内で開かれた表彰式に出席。すでに海外で報じられているネリとの次戦について「準備はしています」と意欲を示した。所属ジムの大橋秀行会長も「いろいろ出ているけど、来月中には整う。いい発表ができます」と正式発表へ前向きな見通しを明かした。

 JBCも、試合開催に向けて動き始めている。ネリは2018年の山中慎介戦で体重超過により日本での無期限活動停止処分を受けている。JBC側は処分解除の申請があれば応じる方針。安河内氏は「(ネリからの申請は)もうすぐ来る予定。(手続きのために)必要なものがあるので、ネリ陣営とコミュニケーションは取っている」と説明した。

 ただ、処分が解除されても悪童に対する疑念は拭えない。ネリには体重超過だけではなく、ドーピング違反の〝前科〟もあるからだ。井上が決戦当日に安心してリングに上がるためには、試合前から厳しい体重チェックと薬物検査が求められることは言うまでもない。

 安河内氏は「WBCと協調して必ずやる。WBCが実施するドーピングテストは1回違反しているので、特別なチェックになると思うし、30日前、2週間前、1週間前と体重のチェックがある。体重超過となるのは、われわれとしても最悪の事態なので」と明言。一方で、違反時のペナルティーについては「仮の話はできない。とにかく、そうならないように準備をしていく」と話すにとどめた。

 山中は世界王座を12回連続で防衛したが、ネリに連敗した後に引退を決断。日本のファンにトラウマを与えた悪童と井上の戦いを見たくないという意見も、SNS上では散見される。安河内氏は「いろんな意見があるのは当たり前だし、そうした声は我々も真摯に受け止めないといけない。(資格停止の)解除にはルールがあるし、そのルールに従って準備をしている。しっかりとした管理の上で試合が成立して初めて(批判の声を)払拭できるし、管理の仕方を見て(JBCへの)評価が出てくる」とトラブル回避に自信を見せた。

 5万人以上が収容可能な東京ドームでのメインイベントが想定されるだけに〝再犯〟は許されない。安河内氏は「今までのケースを見ると(ネリは)しっかりと指名挑戦者までいっているので、きちんと対応してくれると信じている。認定団体などと協力して、僕らは最善の努力をしていく。とにかく2度と違反を起こさないように、管理をしないといけない」と強調した。

 いずれにせよ、モンスターと悪童とのスーパーマッチが、クリーンな形で決着することを祈るばかりだ。