【ニュースシネマパラダイス】どうも! 有村昆です。フランスでトランスジェンダーの高校生を脅迫したとして、パリ郊外の中学校に通う14歳の少年が授業中に逮捕されました。警察官が教室で少年に手錠をかけるという措置が波紋を呼んでいます。
個人的には授業が終わってからでも良かったのではないかと思います。ただ、フランスではイジメが社会問題化しており、マクロン政権はイジメに対して断固とした姿勢を示す意図もあったようです。
今回は「許された子どもたち」(2020年)を紹介します。本作は実際に起きた複数のイジメ事件から着想して加害少年とその家族、被害者家族の姿を描いています。
中学1年生の市川絆星(きら)は不良仲間と一緒に同級生の男子生徒を日常的にイジメていました。ある日、男子生徒を河川敷に呼び出し、割り箸で作ったボーガンで撃ち殺してしまいます。
警察に犯行を自供した絆星だったんですが、犯行現場が河川敷だったので、証拠は少年たちの自供のみ。息子の無罪を信じる母親の説得によって絆星は否認に転じ、少年審判で無罪に相当する「不処分」となります。
被害者少年の家族は、愛する我が子を失った悲しみに加え、少年法の壁に絶望します。一方、絆星は日常生活に戻るんですが、世間から猛バッシングと私刑を受けることになります。週刊誌に実名報道されたことで、ネット上で顔、名前、住所をさらされるんですね。家にはマスコミ、迷惑系の配信者、やじ馬が押し寄せ、住むことができなくなります。引っ越しをして、名前を変えて生活をするんだけど、次の場所でも身元をバラされる。母親は勤め先のコンビニを解雇され、経済的にも精神的にもどんどん追い込まれていきます。罪を犯したにもかかわらず許されてしまった絆星は、その罪とどう向き合っていくのか。結末はぜひ、本編をご覧ください。冒頭で加害少年とその家族、被害者家族の姿を描いたと言いましたが、もう1つの視点があります。それが正義を振りかざし私刑を行う人々です。正義が暴走してしまうと歯止めが利かなくなる怖さ。最近のSNSの傾向でもあると思います。
ハラスメント問題もあり、イジメは子供の世界だけではありません。いつ被害者になったり、気が付いたら加害者になっているケースもあるかもしれません。それぞれの立場で、どうジャッジするかを試されているような映画です。見ていてつらくなるんですが、見てほしい1本です!
☆ありむら・こん 1976年7月2日生まれ。マレーシア出身。玉川大学文学部芸術学科卒業。ローカル局のラジオDJからキャリアをスタートさせ、その後映画コメンテーターとしてテレビ番組やイベントに引っ張りだこに。最新作からB級映画まで年間500本の作品を鑑賞。ユーチューブチャンネル「有村昆のアリコンch」で紹介している。










