【ニュースシネマパラダイス】どうも! 有村昆です。今月1日、死者・行方不明者10万5000人を出した関東大震災から100年となりました。新聞やテレビで関東大震災の企画が組まれ、各地では避難訓練や防災に関するイベントも行われました。震災が多い日本に住む我々にとって身近なニュースですし、風化させないためにも語り継がなければなりません。
今回紹介するのは関東大震災をテーマにした映画「福田村事件」(2023年)です。関東大震災から100年に合わせ、今月1日に公開されました。メガホンを取るのは森達也監督です。オウム真理教の信者たちの日常を追った「A」(1998年)、佐村河内守氏のゴーストライター問題を取り上げた「FAKE」(16年)、「i―新聞記者ドキュメント―」(19年)といったドキュメンタリー映画を手掛けてきた森監督初の長編劇映画です。
本作では、震災直後に千葉県福田村で実際に起きた虐殺事件を描いています。1923年9月1日に関東地方を大きな地震が襲い、建物の倒壊、火災で多くの人命が奪われました。震災の混乱のなかで流言飛語が飛び交い、「朝鮮人が放火や略奪をしている」という情報が広がり、人々は疑心暗鬼に。自警団を作り、自分たちの身を守ろうとします。
そんな中、香川から15人の行商団がやってきます。利根川の渡し場で地元民とささいなことで口論となり、行商団が讃岐弁で話していたことで朝鮮人と疑われ、行商団の15人のうち幼児や妊婦を含む9人が自警団らによって殺されてしまったんです。猜疑心から集団心理が働き、悲劇に至る過程を描いています。
情報が遮断され、疑心暗鬼となりデマを信じてしまう。一方で現在は情報があふれ、その中にはフェイクニュースもあり、疑心暗鬼になるという皮肉なことになっている気がします。
福島第一原発の処理水の放出を巡って中国のSNSでフェイクニュースがまん延したことも問題になっていますよね。どんな思いでフェイクニュースを発信しているのか分かりませんが、誤解と差別を助長させる行為です。常日頃から情報との向き合い方を意識しておくことが大切です。100年前の悲劇は現代の私たちに鋭く訴えかけてくるものがあります。
☆ありむら・こん 1976年7月2日生まれ。マレーシア出身。玉川大学文学部芸術学科卒業。ローカル局のラジオDJからキャリアをスタートさせ、その後映画コメンテーターとしてテレビ番組やイベントに引っ張りだこに。最新作からB級映画まで年間500本の作品を鑑賞。ユーチューブチャンネル「有村昆のアリコンch【映画紹介・TESLA】」で紹介している。











