「蘇州夜曲」「愛国の花」などのヒットで知られる、歌手の渡辺はま子さんが1938年(昭和13年)に録音したが、発売されなかった幻の音源「あの日のわたし」が発見され、23日に発売されるアルバム「渡辺はま子の世界~蘇州夜曲」に収録されることが分かった。

アルバム「渡辺はま子の世界~蘇州夜曲」のジャケット写真
アルバム「渡辺はま子の世界~蘇州夜曲」のジャケット写真

 渡辺さんは1933年(昭和8年)に歌手デビュー。38年には古関裕而氏が作曲した「愛国の花」が大ヒットする。同年発売の「シナの夜」、翌39年発売の「広東ブルース」「いとしあの星」、40年発売の「蘇州夜曲」の大ヒットにより
チャイナ・メロディーの女王と呼ばれるようになる。

 今回発見された「あの日のわたし」は作詞・野村俊夫氏、作曲・江口夜詩氏の作品。カップリング曲に収録された歌手の佐々木章さんの「地震・雷・火事・女房」が時局に合わず内務省から発売禁止対象となったため、その余波で発売されなかった。

「あの日のわたし」の音源はレコード会社にも残されておらず、今回のアルバムを監修した日本大学の刑部芳則教授が、作曲した江口夜詩氏のお孫さん宅の史料群の中から、レコード店頭等での試聴用に作られた見本盤を発見した。

 日本大学の刑部教授は「『あの日のわたし』は、発売中止となったため、これまで聴くことのできない幻の曲でした。今回、奇跡的に見本盤のレコードが見つかりました。『渡辺はま子の世界』のCDに収録されて、多くの人たちに聴いていただくことができるようになったことを嬉しく思います」とコメント。

 また、渡辺さんの「蘇州夜曲」をはじめ、ブギの女王・笠置シヅ子さんの「東京ブギウギ」、ブルースの女王・淡谷のり子さんの「別れのブルース」などの作品を作曲した服部良一さんの作品を集めたアルバム「服部良一の世界~青い山脈」も同時発売される。