自動車保険の保険金不正請求問題で金融庁は7月31日、中古車販売大手「ビッグモーター」と損害保険7社に保険業法に基づく報告徴求命令を出した。ビッグモーターには保険代理店としての立場を使った自動車保険の虚偽契約疑惑も浮上している。一方、街路樹に除草剤をかけるなどしていた疑惑も全国に拡大中。中でも作為的に木が伐採されていたビッグモーター多摩店では、近隣住民から苦情が出ている。

 ビッグモーター多摩店は都道18号線(鎌倉街道)沿いにある大型店舗だ。街路樹問題が発覚した後、東京都が都道に面している同社店舗前を調査すると、同店舗前では木の伐採の痕跡が確認されていた。問題のあった都内8店舗の中でも一番ひどいありさまで、都がすぐに警察に被害届提出の相談をしたほどだった。

 改めて同店舗前を取材すると、無残にも木が伐採された痕がそのままになっていた。強風で折れたのではなく、人が道具を使って切ったような切断面をしていた。都によると、20本のサンシュユの木が被害に遭ったという。いつ植えられていつ伐採されたかは不明。都の担当者は「ビッグモーターが切ったと特定されていないので、店舗への聞き取りはしていません。まずは警察に被害届について相談しています」と話した。

店舗側の街路樹(左)と店と対面にある道路の街路樹
店舗側の街路樹(左)と店と対面にある道路の街路樹

 また、木だけでなく雑草もほとんどない。砂漠のように干からびているといってもいいくらいで、同店舗が面する都道の反対車線側にある街路樹には雑草が生えているのと比べると、違和感を持たざるを得ない。

 騒動になるまで気付く人は少なく、近隣住民の多くが「言われてみれば…だよね」という反応だった。散歩でよく店舗前を通るという年配男性は「今思えば、ある日突然見晴らしがよくなった感覚があったんです。ここ数か月のことじゃないですね。かなり前のことでした」と振り返った。

「街路樹があると、確かに看板とか並んでる車が見えにくかったんですよ。それがはっきり見えるようになりましたからね。悪質です。自治体には早く元通りにしてほしい。切断されたままじゃ見栄えが悪いです」と早急な原状回復を求めた。

店舗前の街路樹は伐採されていた…
店舗前の街路樹は伐採されていた…

 いつ元に戻るのか。都の担当者は「被害届をこれから出そうというところです。そうなると、証拠になりますから、切断されたままで、しばらくは保存することになります。われわれとしては(切った相手が)特定されたら損害賠償請求をして原状回復してもらうことになります」と話した。

 都によると、過去に街路樹が勝手に切られた事例は記憶にないという。「地元住民らの要望があれば、例えば街路樹で歩行者が見えなくて危ないなどの事情があれば、どこかへ移すなどします」(同)。安全面の事情があるならともかく「葉っぱが落ちるから切って」では受け入れられないという。

 ビッグモーターは7月28日に公式サイトで「当社店舗周辺における街路樹の原状回復について」との文書を発表し、除草剤の使用を認めた上で謝罪している。多摩店前に再び木が戻るのはいつになるのか。