〝女芸人マニア〟として知られているお笑いコンビ「馬鹿よ貴方は」の新道竜巳が、これから〝馬鹿売れ〟しそうな女芸人を紹介するこの連載。今回は、まだキャリアが浅い現役の女子大生である〝学生芸人〟ながら、話術だけで観客を引き込む技量を持っている、女性では珍しい漫談家のピン芸人を紹介――。
学生でありながら舞台度胸、貫禄、話術がすでに備わっている。鬼才とでも言うべき女ピン芸人さんです。
【プロフィル】
芸名‥土井集合住宅
生年月日‥2001年8月14日
大学‥青山学院大学
サークル‥青山学院大学ナショグルお笑い愛好会
ある学生芸人と話していると、「いま一番面白いのは、土井集合住宅さんですよ」。名前を聞いたことがなく、知らなかったと伝えると「あ、知らないんですか?」と言われてしまった。学生芸人の間では知られた存在のようです。
そこで自分のライブに来てもらい、ネタを見させていただいた。ネタは漫談で、さっそうと歩いて舞台の中央へ。その足取りは「ちょっと怒ってるの?」と思わせるほどの力強さを感じました。
女性で漫談家というのは、実はとても珍しい。芸歴はまだ浅いのにしっかりと話術だけで引き込む。少し重低音の声質もいい。背筋も堂々としていて、顔つきもいい。髪形も漫談に適してちょうどよく見える。本人は「漫談についてあれこれ考えたことがない」と言うが、女性漫談師は土井集合住宅さんを見たらいいんじゃないかと思ってしまうほどでした。
私も芸歴24年、いろいろな芸人を見てきましたが、違和感なく魅了されることは、そんなにあることではありません。これは努力というよりも、本人が漫談に合っているのだと思います。
どんなに面白い芸人でも、合ってないネタだと違和感を抱き、見ていて集中できないことがたまにあります。でもまだ3年ぐらいのキャリアなのに、土井集合住宅さんには違和感など全くない。舞台で食べていけるタイプの芸人さんだと思います。
いろいろ聞きたいことがあったので、本人に聞いてみました。
――芸名の由来は
「自分の名字の後ろに好きなものの名前をくっつけようと思い、団地やマンションなどの集合住宅を見るのが好きなので土井集合住宅になりました」
――お笑いを始めたきっかけは
「大学1年生の時、コロナの影響で一度も大学に行くことができずふさぎ込んでいたのですが、気晴らしに聴きはじめた芸人さんのラジオで初めてお笑いに興味を持ちました。それから都内のお笑いライブに通って、いろいろな芸人さんを見ているうちに、私もライブに出て自分が面白いと思っていることを表現してみたいと思い、2年生の時にお笑いサークルに入部しました」
――漫談をやっている理由は
「本腰を入れて活動していたコンビの相方がサークルを辞め、これからピンでやっていこうと思った時に、コントやフリップではすでに活躍している人たちに勝つことは難しいと考え、学生お笑いの中でやっている人が少ない漫談をやろうと思いました。単純に話芸が一番好きで、言葉で笑いを取りたかったというのもあります」
――目標は
「単独ライブを開催して満席にし、あふれんばかりの拍手を浴びたいです」
――舞台度胸があるのはなぜ
「昔、少しだけ演劇をやっていたおかげだと思います。でも舞台度胸があるというよりは、『ナメられたくないので大きな声を出して周りを威嚇している』というのが正しいです」
彼女がすごいと思うところは、月に2~3本しかライブに出ていないこと。最近は、ほとんどの芸人が手当たり次第ライブに出て、数打ちゃ当たる方式でやっている。そんななか欲に駆られず、かつ自分の生活ペースを崩さず、面白いことができている。理想のやり方と言えるでしょう。
今月8日には「全日本アマチュア芸人№1決定戦」の決勝が行われ、土井集合住宅さんは3位という結果を残しました。実はこの大会で私は審査員をさせていただきました。今回は優勝を逃しましたが、今後の賞レースでいくらでも結果を残せる逸材なのは間違いありません。
☆しんどう・たつみ 1977年4月15日生まれ、千葉県出身、本名・濱島英治郎。平井“ファラオ”光と組む「馬鹿よ貴方は」として「THE MANZAI」「M―1グランプリ」で決勝進出を果たした実力派。緻密なネタ作りに定評がある一方、女芸人ナンバーワン決定戦「THE W」では、予選会場に足しげく通い、ほとんどの出場者のネタを見るほどの“女芸人マニア”。












