ボクシングのWBA世界スーパーフライ級王座戦(24日、大田区総合体育館)は、前WBO同級王者の井岡一翔(34=志成)が前WBA同級王者ジョシュア・フランコ(米国)を判定3―0で撃破。前代未聞の前日3キロの体重差をはね返して新王者に輝いた。

 試合3日前の21日には日本ボクシングコミッション(JBC)が、前戦の井岡の尿検体から大麻成分の代謝物が検出されたことを発表し騒動に。さらに前日計量では体重を約2・9キロも超過したフランコは王座をはく奪されるなど、トラブル続きの中で迎えた王座戦だった。井岡はドローに終わった昨年大みそかの統一戦で手を焼いたフランコの前進を食い止め、自ら前に出た。結果は3―0の判定勝利で、完勝を収めてみせた。

 試合後の井岡はフランコのプレッシャー対策を明かした。「1で止めたんです。例えばジャブとか、1、2のパンチに対してカウンターで合わせていくと2、3、4が出なくなってくるんです。そこは戦略としてあったんで、当たっても当たらなくても1でカウンターをはめ込んでいっていたので。向こうも警戒心が体にしみついているので、前進できない。僕の圧をかけてたんです」と胸を張った。

 計量を100グラムアンダーでクリアした井岡とフランコには、前日の段階で3キロの体重差があった。さらに当日計量は130ポンド(58・9キロ)で試合成立と、ウエートオーバーした相手に有利な〝大甘裁定〟不利も予想されたが「どうでもよかったです。試合として成立して、彼とリングに上がらないと意味がないと思ったので。二転三転ありましたけど、ここまで来て何があっても戦いたかったです」と意に介さなかった。

 それだけ確かな勝算を持った戦いだった。取材に佐々木修平トレーナーは「(普通であれば)不利だとは思いますけど、それを上回る自信があったので。一翔にも陣営にも。そこを気にするんじゃなく、自分たちが積み上げてきたものを出せば結果はついてくると思ったので。体重なんかあんまり気にしなかったですね」と明かした。

 JBCによる大麻成分検出の発表に対し、井岡陣営即座に潔白を主張し発表のタイミングに疑義を呈してきた。しかしだからと言って井岡に動揺は一切見られなかったという。「彼はこの試合に純粋に集中してたので。別に周りが騒いでも全然、乱したりしなかったですね。結果がすべてだと。動揺はなかったですね。いつも通り、むしろ気合入ってましたね」(佐々木トレーナー)

 試合前に行われた尿検査は前回と同様の手続きが取られる。井岡本人も陣営もJBCに対する不信感は隠しきれず、今後も問題が尾を引く可能性はある。しかし少なくともこの日のリング上は、陣営の緻密な戦略と井岡の強靱なメンタルが実を結んだ、鮮やかな王座返り咲きとなった。