米沿岸警備隊は21日、沈没した英豪華客船タイタニック号の残骸を見る観光ツアーで行方不明になった潜水艇「タイタン」の捜索で、カナダの哨戒機が2日連続で海中の音を感知したと発表した。生存者がいる可能性が出てきたが、救出は時間との勝負になってきた。そんな中、このタイタンを運営する米オーシャンゲート社がさまざまなトラブルを抱えていた上に、極めてズサンな管理をしていた疑惑が出ている。

 米CNNによると、20日の捜索でたたくような音が複数回確認されたため、米政府は「生存者がいる望みがある」とみているという。哨戒機は投下した水中音波探知機(ソナー)で音を拾ったようだ。ただ、沿岸警備隊が海中探査機で周辺を捜索したものの、音の発生源は見つからなかった。21日にも海中の音を探知したと明らかにした。

 5人が乗船する潜水艇は米時間18日朝にカナダ東部沖で潜水し、約1時間45分後に連絡が途絶えた。タイタニック号の残骸は海底約3800メートルにある。酸素供給は96時間がマックスのため、米時間22日朝(日本時間22日夕)ごろには酸素が切れることになる。

 時間との勝負になってきているが、救出は極めて困難だ。深海では捜索船が強い光を発しても3メートル先しか見えない。もしタイタンがタイタニック号から遠く離れた場所にある場合、見つけるのに数週間かかる可能性がある。仮に見つかったとしても、引き揚げるために潜水艇にワイヤを引っかけることは至難の業だという。タイタンの電気系統が作動し、潜水のための重りを外し、海上に浮上することを祈るばかりだ。

 そんな中、タイタンを運営する米オーシャンゲート社のCEO(最高経営責任者)で今回操縦士を務めていたストックトン・ラッシュ氏が過去にたびたびトラブルを起こしていたことがわかった。

 英紙デーリー・メールは21日、ラッシュ氏が“タイタニック号観光ツアー詐欺”で訴えられていることを報道。米国人夫婦が2017年にタイタニック号観光ツアーに参加するため、オーシャンゲート社に21万258ドル(約3000万円)を支払ったが、ツアー計画に不備があるとして、参加しなかった。その後、返金を求めたが、拒否されたため、今年2月に“予定通りにならないことを知りながらツアーを販売し、返金を拒否した”としてラッシュ氏を詐欺罪で告訴したのだ。

 それだけではない。ここにきて極めてズサンな管理をしていた疑惑も出ている。

 オーシャンゲート社の元海洋事業部長デイビッド・ロックリッジ氏は18年8月の法廷文書で、同社が「タイタンの検査を拒否した」ということで、潜水艇の安全設計上の問題を指摘した後、不当に解雇されたと主張していたのだ。

 さらに、英紙エクスプレスによると、乗船者の1人である英国人富豪ハミッシュ・ハーディング氏の友人クリス・ブラウン氏もツアーに参加するため予約していた。ところが、タイタンの操作技術や使用されている材料を詳しく見た後、危険を感じて辞退したという。

 しかも、乗船の際の契約書には「潜水艇はいかなる機関にも承認も認定もされておらず、死を招く可能性がある」と記してあったこともネットで拡散している。

 今後の調査が必要だが、事実だとすれば起こるべくして起こった事故と言えそうだ。