“女芸人マニア”として知られているお笑いコンビ「馬鹿よ貴方は」の新道竜巳が、“馬鹿売れ”しそうな女芸人を紹介するこの連載。今回は、最近テレビで見る機会が増えてきた、お笑いコンビ「Aマッソ」の加納の人気が急上昇している秘密に迫ってみた――。
女芸人について、昔から気になることがありました。もちろんすべてではないですが、“女芸人を避ける女芸人”がいるんです。女芸人は最近でこそ増えてきましたが、ひと昔前は30組のコンビがいると女性コンビは1組いるかいないか、という感じでした。
それほど女芸人が希少だったころ、女芸人だけが出演するライブが誕生します。出演者全員が女性ということで、おじさんのお笑いファンがたくさん来場したんですが、そういうライブにかたくなに出演をしない女芸人もいました。
そんなことが、先日放送された「イワクラと吉住の番組」(テレビ朝日系)という番組で話題になってました。蛙亭のイワクラさんと吉住さんのトーク番組ですが、Aマッソの加納さんがゲスト出演したんです。
イワクラさんは「女子が集まると何かしらモメがちだから、なるべく避けたい」と言っていた。これは男の芸人には想像もつかない意見でした。もっとも男の芸人は、男が集まるところを嫌がっていたら芸人を辞めるしかないので、どんなに嫌いな芸人がいようが避けることはできませんが。
また吉住さんが「初めてAマッソさんを見た時、女から遠のこうとしているように見えてたんですが?」と聞いたんですが、この加納さんの答えが興味深かった。
「自分たちが下ってのもあったけど、先輩が好きじゃなかった。かわいがられてないだけやねんけど、この人にかわいがってほしいなって人にあんまり出会えなくて」「自分の芸歴が上になった時に、かわいがられないのは嫌やったなということに気づいて。それを後輩にはやっていこうと。本質的に女のことは好きやから」
私の場合、ライブに尊敬できない先輩しかいない、仲良くならないなんてことはよくあることなので気にしたことはありませんが、女芸人だけのライブは感覚が少し違うのかもしれません。加納さんも「よくわからん女芸人だけのライブが乱立してて、それは出たくないなってのはあって」と話していました。
いま思い返してみると、女芸人は、男女とも一緒に出る通常のライブでもつらい思いをしていた気がします。昔は特に女芸人を下に見る男芸人が多かった。女芸人を下に見たうえで、イジる対象にしていた。新しいことを始めたら、スベっているようにイジられ、舞台で笑いものにされている女芸人さんを見かけることもあったほどです。
加納さんもそういった意味で「先輩が好きじゃなかった」「かわいがってほしいなって人に出会えなかった」とおっしゃっていたんだと思います。そのせいか加納さんは「尖っている」というイメージが先行している気がしますが、実際の加納さんはそれとは正反対のキャラクターです。
実は私は毎月、女芸人のみのライブを開催しているんですが、過去に一度だけAマッソさんに出演してもらいました。6人ぐらいで10分間トークして、トークの合間に僕一人で出てきて感想を言うというライブでした。
その時、加納さんは常に舞台の真裏にいて、他の人のトークをずっと聞いていた。当時大人気だった日本エレキテル連合さんやメイプル超合金の安藤なつさんが出演していたので、舞台では「このレベルが出てるから断るわけにいかんやないか!」などと言って、盛り上げてくれました。
お笑いに対してストイックではありますが、決して尖っているわけではなく「ちょっとでも面白くしてやろう」というサービス精神から来ているのだと思います。吉住さんも加納さんのことを「普通にしていたら違和感なぐらい笑顔見せてくれる」と言ってましたが、実際にはすごく愛嬌のあるキャラクターなんです。
芸歴を重ね、年齢も30代半ば。結婚もされ、尖ったイメージから脱却しようとしている加納さん。今後は本来の姿である、愛嬌があるイメージが定着していくのではないでしょうか。加納さんはむしろこれから、“超売れっ子女芸人”になっていくと思います。
☆しんどう・たつみ 1977年4月15日生まれ、千葉県出身、本名・濱島英治郎。平井“ファラオ”光と組む「馬鹿よ貴方は」として「THE MANZAI」「M―1グランプリ」で決勝進出を果たした実力派。緻密なネタ作りに定評がある一方、女芸人ナンバーワン決定戦「THE W」では、予選会場に足しげく通い、ほとんどの出場者のネタを見るほどの“女芸人マニア”。東スポ本紙で連載「女芸人馬鹿売れ前夜」を執筆している。












