“女芸人マニア”として知られているお笑いコンビ「馬鹿よ貴方は」の新道竜巳が、これから“馬鹿売れ”しそうな女芸人を紹介するこの連載。今回は、この連載で2年前に一度取り上げて本当に“馬鹿売れ”し、いまや超売れっ子となった女芸人の魅力を改めて分析してみた――。
やす子さんについては一度、2021年3月にこの連載で書かせていただきました。当時は、それこそまだ“馬鹿売れ前夜”だったので、取り上げさせていただいたのですが、その後の活躍は、みなさんご存じの通りです。これからさらに1ランク上の売れ方をしようとしているので、改めてご紹介させていただこうかと思います。
やす子さんは1998年9月2日生まれの24歳。デビューしてまだ4年ほどですが、先日、日本テレビ系「しゃべくり007」にやす子さんが1人でゲスト出演する快挙を成し遂げました。
かなり思い切ったブッキングと思いきや、やす子さんは「今年に入ってまだ休みがないです」と言うから、今の売れ方はハンパではない。特に賞レースで決勝に出場したわけでもないのにこれほど売れるのは、かなり特殊なケースと言えるでしょう。
注目されたきっかけは21年の年明けに放送された「おもしろ荘」(日本テレビ系)です。そこから2年、いまではすっかり売れっ子になりました。やす子さんは一回一回の仕事が必ず次につながる。変な言い方ですが、失敗までも成功になってしまうのがすごいところです。
以前、こんなことがありました。テレビ東京系の「にちようチャップリン」に出演した際、セリフを忘れて泣いてしまったんです。本来なら仕切り直して撮り直すのですが、逆に面白く思われ、そのまま放送されました。本人が意図しない部分で評価が上がり、のちに同番組でMCとして出演したりしたこともありました。
やす子さんの場合、台本にないところで面白くなるせいか、昨年は「ドッキリにかけられた芸能人」で3位になりました。ただ意図しないところだけでウケているわけではなく、平場での瞬発力も一流なのが強みです。
「しゃべくり007」では、こんなやりとりがありました。
上田晋也「最近どういうドッキリにかかった?」
やす子「最近はえっとー、えっとー、ドッキリだと思ったらドッキリじゃなかったり…」
上田「ドッキリを教えて!」
普通の質問にたどたどしくしゃべっているように見えて、ちゃんと会場を盛り上げる分かりやすいコメントを返して盛り上げます。またこんなやりとりもありました。
上田「下はどんな感じなのジーンズなの」
やす子「あの黒のスエットを着てます」
上田「上は?」
やす子「黒のスエットを着てます」
これに対し、福田充徳さんに「上下スエットやん!」とツッコまれていました。シンプルかつ面白い返しを瞬時にできるのはすごい技術。これが評価の高い部分かと思います。
また、実は「やす子」という芸名は本名ではない。本名は「安井かのん」で、非公開にしているわけでもないのに意外と知られていない。この話題になると本人は「男性から『かのんちゃん』って言われると、すぐ好きになっちゃうんですよ」などと言う。かわいいと思わせたうえに会場が盛り上がる。無敵の言葉選びだと思います。
番組ではこんなやりとりもありました。
上田「かのんは今年お正月は何してたの?」
やす子「今年はお正月、何もしてなかったので、上田さんと過ごしたいです」
福田「好きになったやん! もう」
こんなボケを瞬時に返すところはただ者ではない。トーク中に盛り上がる構成を作り出す天才なのかもしれません。
やす子さんが所属する「ソニー・ミュージックアーティスツ(SMA)」は“ベテランの男性芸人ばかりの事務所”というイメージがあります。錦鯉、バイきんぐ、ハリウッドザコシショウ、アキラ100%などなど。数年前まで女芸人など全くいないイメージでしたが、やす子さんの活躍で事務所のイメージを一新させました。最近は若い女芸人も増えてきています。明らかにやす子さんの功績でしょう。これからも“馬鹿売れ”し続けるのは間違いないと思います。
☆しんどう・たつみ 1977年4月15日生まれ、千葉県出身、本名・濱島英治郎。平井“ファラオ”光と組む「馬鹿よ貴方は」として「THE MANZAI」「M―1グランプリ」で決勝進出を果たした実力派。緻密なネタ作りに定評がある一方、女芸人ナンバーワン決定戦「THE W」では、予選会場に足しげく通い、ほとんどの出場者のネタを見るほどの“女芸人マニア”。












