中国メディアは17日、新海誠監督のアニメ映画「すずめの戸締まり」(中国版タイトル「鈴芽之旅」)の中国本土(香港とマカオを除く)での興行収入が同日に7億5200万元(約146億6700万円)となり、日本での興行収入約144億7900万円を超えたと伝えた。「すずめ――」は中国本土で3月24日に公開され、1か月足らずで累計観客数が2200万人を突破した。

 日本アニメ映画では2016年に中国で公開された新海監督の作品「君の名は。」の興行成績が歴代最高5億8000万元(約113億円)だったが、中国の映画専門アプリによると「すずめ――」は観客数、興行収入ともに「君の名は。」を上回った。

 なぜここまで受けているのか。中国版ツイッター「微博(ウェイボー)」では「中国は日本より人口が多いから当たり前」という意見がある。中国本土での史上最高興収は中国映画「1950 鋼の第7中隊」(21年公開)の約57億7000万元(約1126億円)で、規模が違うことは事実だ。

 それでも「すずめ――」がとんでもなくヒットしていることは間違いない。その理由について、中国人留学生は「習近平政権下での日本文化“解禁”と海賊版徹底排除と、一連の新海誠作品の公開タイミングが一致しているからだと思います。新海作品は検閲に引っ掛からないので、いち早く中国で上映されてきました」と指摘する。

 中国では日本だけでなく海外映画の上映規制が行われている。国内市場を守るために外国映画は中国内の総上映時間の3分の1未満とし、何より厳しい検閲もある。それでも18年の日中平和友好条約締結40周年で多くの日中交流事業が行われて風向きが変化。その年の日本映画の公開本数は過去最多15本に上り、さらに19年には宮崎駿監督の「千と千尋の神隠し」と新海監督の「天気の子」が大ヒットした。

 同留学生は「近年まで日本映画はあまり上映されず、海賊版DVDで見ていた人が多かったけど、習政権は『海賊版がはびこるのは世界の恥』として徹底摘発しました。見たい映画が上映されているので、映画館に行くようになっています」と指摘している。