やくしまるえつこ+砂原良徳「Ballet Mecanique」

 3月28日に亡くなった坂本龍一さんの作品の中で、「戦場のメリークリスマス」や「energy flow」ほどの知名度はないものの、ファンには確実に愛されているであろう曲が、「Ballet Mecanique」。1986年4月発売のアルバム「未来派野郎」収録曲で、ボーカルはザ・ローリング・ストーンズのライブではコーラス要員として欠かせない存在となっているバーナード・ファウラーが担当していた。

 アニソンのコラムでこの曲を取り上げるのは、2018年公開の劇場アニメ「ANEMONE/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション」の挿入歌として、やくしまるえつこ+砂原良徳によるカバーバージョンが使用されていたから。劇中では重要なクライマックスシーンで流れた。

 実はこの曲、ちょっと複雑な“経歴”を持っている。厳密に言うと、「未来派野郎」の1か月前に発売された岡田有希子のアルバム「ヴィーナス誕生」の冒頭に収録された「WONDER TRIP LOVER」が最初に世に出たバージョンということになる。この時は作詞がEPOだったが、坂本バージョンの「Ballet Mecanique」は矢野顕子&ピーター・バラカンが新たな歌詞を付けている。

 それからしばらく後の99年、大ヒットドラマ「ケイゾク」の主題歌として、中谷美紀が「クロニック・ラヴ」のタイトルで発表(作詞も中谷)。おそらくこのバージョンが最も多くの人にとってなじみがあるはずだ。

 何度も形を変えてリリースされてきた「Ballet Mecanique」。坂本作品の中でもトップクラスのキャッチーなメロディーを持っているからこそ、時を経ても新しい解釈で生まれ変わり続けているのだろう。