国際司法裁判所(ICC、本部オランダ・ハーグ)は先日、ロシアが侵攻したウクライナからの子供の連れ去りに関与した疑いがあるとして、戦争犯罪の容疑でウラジーミル・プーチン大統領に逮捕状を出した。

 占領したウクライナの子供1万6226人を〝国家ぐるみの拉致〟で、ロシア人にするためだという。ICCに逮捕権はなく、ロシアは非加盟国であるとはいえ、国連安全保障理事会常任理事国の元首としてのイメージはがた落ちとなる。

 そんな中、英紙デイリー・スターは19日までに「プーチン大統領は逮捕を回避するために何百体もの影武者を用意した」と報じた。プーチン氏は独裁者の座に就いてから長年、公の場に出る際、影武者に演説させるなどして暗殺を回避し、健康問題を隠してきたという。

 しかし、クレムリンの内部関係者によれば、「プーチン大統領は、〝懸賞金目当て〟の組織によって誘拐され、当局に引き渡されるのではないかという〝超妄想的〟な恐怖から、数百体の影武者を発注した」という。ICCは連れ去りを命じたプーチン氏と、実行したとされる「子供の権利担当委員」のマリア・リヴォヴァ=ベロヴァ女史を17日に指名手配。影武者増産命令はその直後に出た情報だ。

 デイリー・スターは「プーチン大統領が恐怖しているのは、第二次世界大戦後、連合国がニュルンベルク裁判でナチスの戦争犯罪を裁き、数人を絞首刑にしたことを知っているからだ」とした。ただし、ICCの最高刑は終身刑だ。ICCに加盟しているのは123の国と地域で、プーチン氏が加盟国に足を踏み入れた場合、逮捕される可能性がある。つまり、プーチン氏はロシアからほぼ出られない状況になった。

 ICCが過去に現職の国家元首に逮捕状を出したのは、スーダンのバシル元大統領とリビアの故カダフィ大佐に続き3人目としている。