東京映画記者会(東京スポーツなど在京スポーツ紙7紙の映画担当記者で構成)が選考する「第65回ブルーリボン賞」各賞が決定した。作品賞は「ある男」が受賞。メガホンを取った石川慶監督が主要キャストへの思いを語った。

 同作は、弁護士(妻夫木聡)が女性(安藤サクラ)の亡き夫(窪田正孝)の正体を追う物語。夫が死去後に素性不明と分かり、調査するヒューマンミステリーだ。

 石川監督は「理想的なオールスターキャストが集まった。ただ見た目が派手なだけじゃなくて、この役にこの人だっていう」とうなずく。コロナ禍での撮影で「幸運にもいろんな人のスケジュールが空いて、こっちに集まってくれた」という。

 特に脚本段階から二人三脚で歩んだという妻夫木には「圧倒的なスターなのに、すごく普通の人も透明に演じられる人っていうのはなかなかいない」と感服する。

「大手(松竹)でやるという重圧の中心に立つ人は引力を求められると思うんですけど、悪目立ちせず、作品の世界にスッと溶け込んでいるのは、唯一無二なのかなという感じはしていますね」

 妻夫木は42歳で役者として円熟期を迎えようとしている。

「40代に入って、それこそ役所広司さんとか佐藤浩市さんの後ろ姿がたまに重なるぐらい、大きい役者さんになっていくっていう感じがすごくした」という。妻夫木は「愚行録」(2017年)でも起用しており、「定期的に組んで作品を作れる、そういう関係性になれたら」とラブコールを送る。

 安藤のことは「世界の安藤サクラ」と例えた。「どこに行ってもファンがいるし、サクラさんの新作を待っている人がいるんだなっていうのはいろんな映画祭で感じました」

 窪田については、釜山国際映画祭で地元スタッフと仲良くなっていたのを目の当たりにし「天性の人を引き付けるものがあるんだろうな」と感心。今作での演技が多方面で評価されていることを自分のことのように喜んだ。