陸上自衛隊での性被害を告発した五ノ井里奈さんが30日、都内の日本記者クラブで会見を行い、加害男性隊員5人(当時)に精神的苦痛を被ったとして連帯で550万円、国に安全配慮義務違反があったとして200万円の損害賠償を求める訴訟を横浜地裁に起こしたと明らかにした。

 加害男性隊員5人は懲戒免職となり、そのうち3人は強制わいせつ容疑で書類送検された。その後、3人の加害男性隊員から示談の申し入れがあったが、「加害行為をどう受け止め、どう責任をとるのか」との質問に回答がなく、五ノ井さんは「反省していないと感じるし、このままではハラスメント等の根絶は不可能」と判断。訴訟を起こすに至ったという。

 そして「できることなら戦う選択をしたくなかった」と心境を吐露した一方「自衛隊内でハラスメントがあるのは事実。今も自衛隊は好きなので、もっと一人ひとりが大切にされて、正しい正義感を持った隊員や組織になってほしい」と訴訟の意義を強調した。

 自衛隊は規律や上下関係に厳しい。とはいえ、これがゆがんでしまってはいないか、と疑問を呈するのは陸上自衛隊に4年間所属した20代の元男性隊員だ。

 自身の経験として同男性は「自衛隊は上官、先輩に絶対服従という文化で、これを悪用した先輩によるハラスメントは存在する。私自身もよくわからない『指導』という名目で足腰が立たなくなるまで筋トレをさせられたり、倉庫に呼び出されて暴力を受けた」と告白。その上で「上官や先輩に絶対服従は文化として全隊員に根付いているので、何か被害を受けて上官に意見したら、隊の“はみ出し者”となって居場所を失う。だから、被害を受けても訴え出ることができず、加害する側も増長しやすい環境にある」と指摘した。

 五ノ井さんの思いは届くか――。