地上波テレビドラマ人気作の「イッキ見」は、いまや年末恒例となっている。そうした中、日本テレビ系で29、30日放送の「ハコヅメ~たたかう交番女子~」は、昨年末にも同様の特番が流れた異例の作品だ。

 埼玉県警の架空の派出所を舞台に、新人警察官の川合(永野芽郁)と先輩の元刑事・藤(戸田恵梨香)がバディーとなる同ドラマ。昨年7月期に放送され、年末に一挙放送が行われた。今年は夏に発表された「放送文化基金賞」でテレビドラマ番組の最優秀賞に選ばれたことを記念し、再びのイッキ見となった。

 視聴者からは「何回見ても面白い」「大好きなハコヅメが絶賛されててうれしい」「2年連続年末放送は強すぎる」といった喜びのツイッター投稿や、異例の放送から来年の続編を予想する声もツイートされている。

 放送文化基金賞は「視聴者に感銘を与え、放送文化の発展と向上に寄与した優れた放送番組」などに授与される。「ハコヅメ」はコミックが原作だが、警察の〝おっさん文化〟を風刺したセリフや演出が他の警察ドラマとは違った趣をかもしだしている。

 川合と藤が、刑事たちが泊まり込みしている県警本部刑事課の部屋を訪れる場面では、「汗臭さが部屋廊下まで漏れ出てる気が」と言う川合に、藤は「あと、おっさん臭もね」と返し、鼻で息をせずに部屋に飛び込む。そして藤は机に突っ伏す刑事に目をやり「あれはどこのゴリラ?」。

 さらには藤と同期の女性2人による官舎での酒盛りは、後輩から「大奥というより山賊」にたとえられる始末。「本部でおっさんに囲まれてるから若い女の子のエキスを吸収したい」と言い放つ同期に、藤は「おっさんに囲まれすぎておっさん化してない?」と指摘。そんな同期3人が男性刑事2人を飲み会に引きずり込む光景に、川合は「イノシシでも狩ったように…」と驚くばかり。

 男性刑事も「この職場でおっさんに浸食されてない場所なんかない」とボヤくなど、警察の主流をなす「おっさん」の生態が描かれる。警察内恋愛にからめて藤が〝日本最大の暴力組織〟とこぼす場面もあり、異色の脱力風ドラマが人気と高い評価を得た。