昨年5月に上島竜兵さんが亡くなり、日本中が悲しみに暮れた。ダチョウ倶楽部のリーダーで、竜兵会のメンバーでもあった肥後克広(59)から見た上島さんの素顔とは――。
――最も近い場所にいたリーダーから見て、上島さんはどんな人でしたか?
肥後 上島さんの話をこうやって色々取材で話していて、「悪口ばっかり言ってる」となってるから、いいことを言おうと今日もずっと考えていたんですけど、いいことが全然なくて。意外に几帳面だったと。子供には優しかったよね。大人の人が写真撮ってくださいと言うと意外に断るんですけど。子供が好きだったんでしょうね。
――悪口ばかり言ってるのですか
肥後 悪口というか、本当のことなんですよ。〝業の塊〟みたいな人だから。人間の業をそのまま出してる。だから好かれている。「男はつらいよ」の車寅次郎なんですよ。惚れやすいしバカだし、やることなすことちょっと違っているというか。寅さんは大好きでしたしね。
――確かに寅さんっぽいです
肥後 もらった給料を2日で全部使っちゃうような。給料制だったから同じ給料なのにリーダー貸してくれと。給料が入ったらボンと全部返して、みんなに飲み食いさせてお小遣いをあげたりして、俺にもお小遣いをくれるんですよ。利子とは言わん、お小遣いだと。それで全部使って2日後にまた貸してくれと。意味が分かんない。それが延々と続いて、ある日返すよと。違う違う、先月お前は珍しく借りてないんだよ、だからいいんだよと言うと、違うと。お前が知らない間にちゃんと借りてんだよと。楽屋泥棒をしていたんです。ちゃんと返すいい泥棒。そんな男なんです。それを隠さずにできる人なんです。だからみんなに好かれるんです。こんなバカ見たことないと。業を隠してるつもりでもポロポロ表に出てきて、最低な人間だなとみんなに言われて。その最低さがみんな好きになる。そういうことだと思いますよ。
――いろいろと〝事件〟もありました
肥後 飲んでいて一番最後の大事件があったのは、焼肉屋。掘りごたつになっていたんです。トイレから戻ってきた上島さんは掘りごたつということを忘れて足がはまり、倒れたんです。こっちは焼肉の網、あっちはでっかいグラス。上島さんはどっちに行くか一瞬で判断して、グラスの方に倒れました。すごい音がしてグラスは粉々に割れました。ちょうどこの日、上島さんは白いワイシャツを着ていて、ここ(胸)が真っ赤になっていたんです。グラスもすごい割れ方をしているし、大ケガをしたと思ったお店の人も大変だとなって、救急車、救急車となって。そうしたら上島さんは待て待て、救急車を呼ぶなと。よく見たらキムチを握りしめていたんです。偶然だったんじゃないですか。無傷でした。そんなバカなんです。コロナ前ですね。
――コロナ禍になると、上島さんはオンライン飲み会をよくやっていたとか
肥後 上島さんは非常にコロナを怖がっていて、飲みに行かないんですよ。オンライン飲みを週何回かやっていて。1回か2回か参加したんですけど、俺は正直オンライン飲みは好きじゃないんですね。外で後輩たちと飲むのが楽しい。それでも上島さんは楽しいよと。オンラインで飲んでいて「あいつら(飲み会の若手)のカネを出さなくていいんだ」ということに気付いたのです。あいつらは自分らで缶酎ハイとか飲みゃいいんだよと。余計なカネを出さなくていい。だから楽しいんだと。そういう人間ですよ。
――上島さんらしいエピソードです
肥後 上島さんが亡くなって、オンライン飲みしていた芸人たちでオンライン飲み会をやったんですけど、画面のここにいつもいた上島さんがいないというのがリアルすぎて、すぐ止めたと言ってました。よく行っていたお店には行くんですけどね。悲しいっちゃ悲しいけど、悲しくないと言ったら悲しくない。〝しくじり〟で亡くなったのも上島さんっぽいなと。必ずこうやったらウケるのを外してしまうのも上島さんっぽいなという気もするし。今となってはそれも含めて上島さんなんだなと、全てを受け入れるしかないですね。几帳面ですごい気が小さくてマジメというのはあるけど、全てを台無しにするとかそんな部分も持ってたから。
――奥が深い人でした
肥後 あとは潔癖症だね。和式トイレはNGで、洋式も(便座に)お尻を付けられない。ウォシュレットがないとブチ切れるし。その割にはロケ先で野グソするからね。もう分かんない。全部上島さんなんだよ。













