宮崎のクリスマスが大変なことになってきた。宮崎県知事選(12月8日告示、25日投開票)に歌手のスーパークレイジー君(本名・西本誠=36)が出馬の意向を固めたことが分かった。近く会見を開き、正式表明する。同知事選には現職の河野俊嗣氏(58)、タレントで前知事の東国原英夫氏(65)、元参院議員で、〝さくらパパ〟こと横峯良郎氏(62)が出馬を表明しており、著名人候補がひしめく大混戦の様相となってきた。

 やはり黙っていることはできなかった。クレイジー君が急転、知事選への出馬を決めたのは地元を思う熱い気持ちだった。

 会社経営、銀座の黒服、歌手、ティックトッカーなど多彩な顔を持つクレイジー君は、2020年の東京都知事選に「百合子か俺か」のキャッチフレーズと特攻服姿で政界に殴り込みをかけ、世を仰天させた。翌年には埼玉・戸田市議選で当選し、〝異色の市議〟誕生と騒がれるも住居実態がなかったとして、今年3月に最高裁で上告棄却となり、失職。バッジを失った9日後には戸田市長選に電撃出馬も涙をのんでいた。

 一時は落ち込んでいたクレイジー君だが、切り替えは早かった。4月に日大通信教育部の法学部政治経済学科に進学。また東京、戸田、地元の宮崎に拠点を構え「スーパークレイジー君党」の党首として、政治活動を再開し、全国を飛び回っていた。

 夏の参院選出馬も検討したが「地に足をつけてから」と来年4月の宮崎市議選に照準を合わせていた。県知事選も宮崎に戻ってきた東国原氏の元を訪ね「シン・どげんかせんといかん」と改革を訴える姿に共感したが日々、つじ立ちで県民の声を聞いている中、切実な将来の不安や閉塞感を目の当たりにした。4年前の県知事選は過去最低の投票率(33・90%)だったため、自身が出馬することで、選挙を盛り上げ、政治に少しでも関心を持ってもらいたいとの思いが日に日に強くなっていった。

 宮崎生まれのクレイジー君は地元で、ヤンチャな青春期を過ごし、暴走行為で少年院に入ること3回、5年間、お世話になった。20歳の時に俳優を夢見て、上京。銀座・高級クラブの黒服で名をはせれば、歌手としてもティックトックやユーチューブで大バズり。若者世代の認知度は、他の候補者らを圧倒している。

 31日、クレイジー君は取材に「『宮崎をマジでどげんかせんといかん』と思っています。近くきちんとした形で話します」と出馬会見を開く。すでに宮崎に住まいを移し、家族も東京から呼び寄せ、年末決戦への準備段階に入っている。

 現職の4選確実とみられていた中、東国原氏が返り咲きを目指して、地元に帰ってくれば、プロゴルファー横峯さくらの父・良郎氏が「東さんは平和ボケしている」と宣戦布告。さらに共産党も候補者を擁立する意向を示している。クレイジー君の参戦で、クリスマス投開票の県知事選は大乱打戦のにぎやかな選挙となりそうだ。