涙の復活劇だ。柔道の講道館杯全日本体重別選手権(29日、千葉ポートアリーナ)、女子63級で東京五輪代表の田代未来(28=コマツ)が優勝を果たした。

 感情を抑えることができなかった。決勝まで5試合でオール一本勝ちを収め、昨年の東京五輪以来、約1年3か月ぶりの実戦で勝負強さを見せつけた。試合後は「畳に上がって戦っている一瞬、一瞬がうれしくて、また戦えるんだと実感した一日でした」と喜びをかみしめた。

 ケガに悩まされた日々を送った。五輪前に左足首と左肩を負傷。大舞台では個人戦でメダルを逃した。さらに今年1月には左ヒザ前十字靭帯を痛め、再び畳が遠ざかった。一時は引退を意識したこともあったようで「正直もう無理かなと思うことがたくさんあってやめたいなと思う時期もあった」と振り返る。それでも「どうしてもあきらめきれなくて少しずつ目の前のことをコツコツとやっていこうと思い、リハビリ期間を過ごしてきました」と復帰の道を探ってきた。

 東京五輪の悔しさは2024年パリ五輪で晴らすしかない。ただ、田代本人は「まだまだ世界の選手と戦えるレベルに達していないと感じたので少しずつ力をつけていきたい」と、〝現在地〟冷静に受け止めている。

 今後に向けては「悔いのない戦いを一つひとつやっていく。目の前の試合を勝ち抜いていきたい」。2年後への挑戦は始まったばかりだ。