今年7月6日に沖縄県名護市安和の沖合で、遺体で見つかった人気漫画「遊☆戯☆王」の作者、高橋和希さん(本名・高橋一雅、享年60)は、人命救助の最中に事故に巻き込まれていたことが確定した。海上保安庁が14日、正式発表した。

 高橋さんは7月4日午後に恩納村にある「マーメイド・グロット」(人魚の洞窟)と呼ばれるダイビングスポットで、シュノーケリングをしていた際に、離岸流に巻き込まれた両親と娘の3人を発見。近くに居合わせた米兵男性らと救助活動に当たった。

 両親は自力で岸にたどりつき、少女は米兵男性がなんとか救い上げていた。だが救助活動の際、高橋さんは波にのみ込まれるなどしたものとみられ、2日後に名護市沖合で遺体となって見つかっていた。

 米兵男性は米軍から人命救助の功績で表彰され、米「星条旗新聞」電子版で、その過程が判明していた。海上保安庁は13日まで「調査中」としていたが、14日に「高橋さんは少女救出のため、入水して、その後、姿が見えなくなり、海難事故に遭ったものと特定している」と発表した。

 海上保安庁は7月時点で把握していたものの少女の精神面を考慮し、「事実の公表を控えていた」とした。

 ネット上では高橋さんが単なる事故死ではなく、少女を救おうとしたことが原因で亡くなったとみられることに「リアルヒーローだ」と称賛の声があふれ、救助活動していた米兵男性も「彼は英雄だ」と自分一人だけが表彰されるものではないとしていた。