3年ぶりの開催となった9日のF1日本グランプリ(GP)で主役的な立場だったのは、イタリアのアルファタウリチームから出走した角田裕毅(22)だった。
角田は神奈川県出身ながら、2016年度の鈴鹿サーキットレーシングスクールを卒業。鈴鹿はまさに地元コースだ。20年にF2でシリーズランキング3位となり、F1参戦に必要なスーパーライセンスの資格を獲得。これを決めた最終戦のレース後にこう語っていた。「来年は、F1で鈴鹿をファンのみなさんの前で走りたいです!」
しかし、新型コロナウイルスの影響で昨年の日本GPの開催は中止。今回、やっとその時からの思いが実現した。今季の角田は同チームでF1優勝経験もあるピエール・ガスリー(26=フランス)に勝るとも劣らない速さを見せている。ただ、アルファタウリは中堅クラスのチーム。角田は予選ではトップ10入りをするものの、決勝ではマシンのトラブルなどで目立った成績につなげられていなかった。
今回も角田のマシンは予選でブレーキの調子が良くなかったが、それでも13位につけた。雨の中で行われた決勝は13位スタートから9位まで浮上し、入賞圏(10位以内)で激しく戦っていた。2度のタイヤ交換のピットストップで16位まで後退したものの、ここから角田の猛追が始まる。2周後には15位、さらに2周後には2台を抜いて13位に上がった。
再び入賞圏が見えたところだったが、レースは終了。角田は「難しい日でした。入賞してポイントを獲得したかったので、残念なレースでした。でも、自分の最善は尽くせた。マシンの性能もすべて引き出せました。ただ、マシンのペース(速さ)が足りませんでした」と振り返った。
それでも、レース終盤の角田の走りと猛追は、鈴鹿のファンを沸かせた。「地元コースをF1で初めて走れた経験はとても楽しかったですし、自分とチームを応援しに来てくださったファンのみなさんに心から感謝しています。特に今日は雨でしたから」
地元のファンの前をF1で走りたいという2年前の角田の思いは実現した。結果は、入賞目前の13位。だが、マシンの性能のすべてを引き出したドライビングと追い抜きは、鈴鹿に集まったファンを熱くさせた。角田にとって、値千金の初鈴鹿F1だった。(小倉茂徳=モータースポーツ・ジャーナリスト)









