名曲「ボヘミアン」で知られる〝レジェンド女性ロッカー〟葛城ユキさんが27日午後、腹膜がんのため都内の病院で死去した。享年73。

 ステージ4と分かり昨年4月から10か月に及ぶ闘病生活を送り、先月17日に夢グループ主催コンサート「夢スター春・秋」でステージ復帰。千葉県内の2か所で昼と夜の部に出演し、米女優ベット・ミドラーの名曲「ローズ」を披露した。車いす姿の葛城さんの体調を気遣い、スタッフは〝口パク〟を勧めたが、本人はかたくなに拒否。張りのある地声で歌い上げ、目にはうっすら涙を浮かべていた。

 夜の部の公演前、囲み取材に応じた葛城さんとの一問一答は以下の通り。(敬称略)

 ――長い闘病だった

 葛城 一生懸命闘っているうちに歳月が流れて、アッという間だったような気がしますし、またある面ではものすごく長く長くかかったような気もしますけれども、基本的には1年早かった。もうその分、一生懸命だったんでしょうね。

 ――逃げ出したい日々もあった

 葛城 今コロナの時期で面会者もいませんし、しゃべる人もいません。看護士さんとしゃべるだけで、主治医とね。ですから、もう精神的な苦しみと、体の痛みと闘うことでちょっともう、この場面から逃げ出したい。でも…やっぱり自分が頑張らないと、乗り越えないといけないので。基本的には分かってます、私は。復帰宣言しましたから。帰る義務があり、責任があるので、それで頑張れましたね。皆さんの『必ず帰って来て』『待ってるから』っていう声が、ず~っと頭から離れませんでした。だから頑張れたと思います。

 ――昼の部でステージ復帰した心境は

 葛城 ステージ後に思わず口に出たんですけれども〝やっぱりステージはいいね〟って思いました。歌うために生まれてきたというふうにいつも言ってたし、思ってるもんですから、やはり水を得た魚のように…そんな気がしました。

 ――今の体調は

 葛城 しんどいですね、ホントはね。心拍数がちょっと動くと上がって、今日は1曲歌わせていただきますけれども、本来ですと2時間ライブやってますので、22曲ぐらい歌うんですけど、そのところに耐えるにはちょっと遠いですけれども、でも、急には変えられないので、少しずつ一歩ずつ歩み寄っていきたいと。

 ――目指すはワンマンライブ完走?

 葛城 そうですね~。はい。できればそれが早く来ることを願うだけです。

 ――ファンにメッセージを

 葛城 このたびはご心配をお掛けして、そして大変たくさんの励ましのメッセージをいただきました。おかげさまで大変心の支えになりました。この苦しみを乗り越えて、また新しい自分の世界があるんじゃないか、また新しい景色が見えてくるのかなというふうに思います。頑張りますので、皆さんも一緒に、こういう境遇におられる方、頑張って乗り越えましょう。そしてファンの皆さんもありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。

 ――来週(5月25日)は誕生日

 葛城 あ、そうでしたね。あ、そうですね。また(年齢が)増えるわけですよね。3(73歳)になりますからね。でも、考えたことはないので。だんだんやはり年を重ねるたびに、私は希少価値が出るんじゃないかと思って、希少動物みたいなもんで、はい。