岸田文雄首相が24日、新型コロナ対策について、感染者の全数把握方法の全国的な見直しなどの新たな方針を発表した。自治体や医療機関、保健所の負担を軽減するためとしているが、専門家からは「責任逃れの姑息なやり方」と厳しい声が上がっている。

 政府は24日、新型コロナウイルスの流行「第7波」で業務が逼迫する医療機関や保健所の負担軽減のため、感染者の全数把握の方法を見直す方針を表明した。個人の情報を伴う発生の届け出を都道府県の判断で全員でなく高齢者ら重症化リスクが高い人に限定できるようにする。発生届対象外の人を含む感染者の総数と年代別の内訳を毎日公表することを前提に、知事が厚生労働相に申請した場合に認める。手続きが順調なら25日から申請を受け付ける。

 岸田首相はオンラインで報道陣に、全数把握の全国的な見直しに加え、療養期間の短縮も検討しているとした。

 これに医学博士で防災・危機管理アドバイザーの古本尚樹氏は「全数把握をやめて自治体に判断を任せるのなら、全国的な統一基準、指標を示してやるべきなのに、なぜバラバラにするのか意味が分からない。面倒くさいことを自治体に丸投げして責任逃れ、姑息なやり方に思える」と厳しい目を向けた。

 関係各所の負担軽減が目的というが、実体が伴わない可能性もある。

「知事会から言われて追随し、方針変更するのも問題ですし、分かりにくいというクレームも自治体に集まるでしょう。判断を任される自治体はかえって負担が大きくなる。政府分科会の存在意義も分からなくなるでしょうし、負担が減るのは政府だけということになりかねない」(古本氏)

 自治体の判断となることで今後は全数以外の発表にも影響が出てくるのは必至だ。

「各地の感染状況、医療逼迫の目安となる中等・重症者、死者の数や割合、病床数逼迫の数や割合など、住民に必要な情報までバラバラになってしまうと、住民自らが判断しなくてはいけなくなる。ワクチンの有料化も議論され、地域格差問題が浮上してますが、各自治体で情報格差が生まれ、ひいては健康格差も生まれかねない」(古本氏)

 さらに岸田首相は水際対策についても、現在入国時に求めている出国72時間以内の検査での陰性証明書提出を「9月7日から3回目ワクチン接種を条件に免除し、入国者総数、出国前検査、入国時の検疫などさらに緩和する」と表明。

 陽性者の自宅療養期間についても、政府内では現行の原則10日間を7日間に短縮する案が浮上し「期間短縮などできるだけ速やかに公表したい」とした。

 国として、経済活動優先にシフトし、先進各国並みの対策に緩和することになったが、それだけに自治体任せは問題視されそうだ。