“新聞読み比べのプロ”としてメディアに引っ張りだこの時事芸人・プチ鹿島による60周年企画。“日本一の新聞読み”による東スポ分析の後編をお届けしよう。近5年の1面の中で気になったものも挙げてもらったぞ。
昨日は東スポの1面が「ファンタジックな未知」から「ガチでシリアスな未知」にシフトしつつあると分析しました。
前者は宇宙人とかUFOとかネッシーですね。その手の面白系の1面が増えた湾岸戦争のころ、僕は、原付きで片道20分かけて東スポを買いに行くほどの読者で、大学の下宿に住んでたんですが、「ネッシー生け捕り」が見出しになった1面をゴミに出したら、翌日、ヒモがほどかれてて、誰かに持っていかれてました(笑い)。
そんなファンタジー系ではなく、芸能人の薬物疑惑をイニシャルと影絵(シルエット)で報じるリアルな予言が最近増えてきたわけですが、実は一貫しているのは「1面で引きつけておいて中でシビアに読ませる」ってことです。これは東スポを30年以上読んできた人間として声を大にして言いたい。「ソースは東スポ(笑い)」なんてバカにしている人に限って、中をきちんと読んでいないんです。
例えば、野球ネタは非常に充実している上に、スクープもたくさんある。巨人の長野選手が広島に移籍することを最初に報じたのは東スポでしたし、FAの人的補償のプロテクトリスト関連でも他に出ていない情報が載っている。
シュート(ガチ)テクニックというか、昔の「六本木黒服情報」みたいにしれっとヤバイことを書いてるコーナーもありますよね。「これ載せちゃっていいの?」っていう話で、3か月後に読むと「あ~、あのことだったのか」っていう。あと、男セン面の街頭淫タビューなんて文化的価値がめちゃくちゃ高いと思うし、ホント、分かる人には分かるよねっていうのを置いておいてくれるんです。
今でも、コンビニとかキオスクで東スポを抜き出す瞬間はすごくワクワクします。でも、そのワクワクだけじゃなく、1面以外の記事もじっくり堪能する…それこそが東スポの味わい方じゃないでしょうか。むしろ、最後に1面を読むなんていうのもオツかもしれませんよ。
〈プチ鹿島のお気に入り1面〉
【2017年1月28日付】広瀬すずプロレス参戦か
東スポっぽくて好きでした。僕の周りでも話題になりましたもん。「そんなわけねーだろ」とツッコミつつ、読んじゃうんですよ(笑い)。
【2018年8月26日付】金農・吉田「米」になる その名も輝星(かがやきぼし)
吉田輝星フィーバーがすごくて東スポが5日連続で1面にしたんですが、最後はコレ。「いよいよふざけだしたな」と(笑い)。
【2019年1月8日付】激震!!長野 人的補償・広島移籍
巨人の長野が人的補償で広島に移籍するのをスクープ。こういうスゴさが東スポにはあるんです。
【2019年7月4日付】「アメトーーク!」ゲストMC超穴・雨宮塔子
絶対ないでしょうけど、「アメ」つながりですしね(苦笑)。しかも、原稿には説得力もありました。
【2019年10月29日付】世界初・人面ヤギ
久しぶりの“ファンタジックな未知”でうれしかったですね。これが売れなかったとしても東スポは悪くありません。人面ヤギを楽しめない世の中が悪い。
【2020年2月5日付】巨人・岡本 巨根・金カップ王
こういう切り口で東スポの1面をとれるのって松井(秀喜)さん以来でしょう? 岡本も巨人の王道の4番に化けつつあるのかな、と。
☆ぷち・かしま 1970年生まれ。時事ネタと見立てを得意とする人気芸人。新聞13紙を読み比べ、新聞、雑誌などでコラム多数。「サンデーステーション」「東京ポッド許可局」に出演中。著書に「教養としてのプロレス」「芸人式 新聞の読み方」など。












