カナダの公共放送局「CBC」が、新型コロナウイルス感染拡大の影響により東京五輪の参加を辞退する国が、カナダも含めて続出する可能性を報じた。

 日本では感染力の強い新型コロナ変異株が猛威を振るっており、東京を中心に感染が深刻化している。そうした状況を受けて同局は、感染症の専門医でオンタリオ州の新型コロナワクチンタスクフォースのメンバーであるアイザック・ボゴッチ博士の見解を紹介した。

「今大会では検疫がなく、ワクチン接種も義務付けないまま人々が(日本に)出入りするとしたら、私は驚きだ。選手や関係者は世界中からやって来る」と指摘。東京五輪の出場選手は通常課される2週間の待機措置が免除され、ワクチン接種も前提にしないため、最前線でウイルスと戦う専門家の立場から感染対策がずさんだと糾弾。そして「彼ら(選手)はおそらくいくつも陽性判定のケースが出てくるだろう」と〝東京五輪クラスター〟が発生する確率が高いと警鐘を鳴らした

 こうした専門家の指摘や世界の感染状況を踏まえ、同局は東京五輪の強行開催の危険性を強調。「これまでのところ健康上の懸念を理由に五輪から撤退した国は北朝鮮だけだが、これから多くの国が追随しても驚きではない」と指摘した。

 さらに「インドは新型コロナ感染者数が5日連続で記録的な増加を見せ、病院はすでにひっ迫している。公衆衛生の観点から、アスリートを国際的なイベントに送ることは意味がない。またカナダでは、アイスホッケー選手から医学を専門とするヘイリー・ウィッケンハイザー(IOC委員)も懸念を表明している」と、インドとカナダが次に東京五輪のボイコットを表明する可能性があると報じた。

 そして「東京五輪をスキップする国が多ければ多いほど、ボイコットの範囲が広がった1980年のモスクワ五輪や84年のロサンゼルス五輪のように、注釈付きで試合が記憶される可能性がある」。参加を辞退する国が相次ぎ、参加国との間で〝分断〟が起き、正常な形での大会開催は絶望的だと断じた。

 G7の一員であるカナダの公共放送局が開催に異論を示し、波紋が広がることは必至。いよいよ海外からの〝開催中止圧力〟が高まってきた。