東京五輪・パラリンピック組織委員会と国際オリンピック委員会(IOC)、国際パラリンピック委員会(IPC)は28日、新型コロナウイルス対策などをまとめたプレーブック(ルールブック)第2版を公表した。海外選手は出国前96時間以内に2回の検査、その陰性証明を持参して入国時も空港での検査などが必要となる。

 開幕まで3か月を切り、大会に向けた準備は着々と進んでいるが、国民の不安やネガティブな反応は払しょくできていない。

 この日の記者会見では「一部は五輪参加者が特権を持って(日本に)入ってくるのではないかという印象を持っている。65歳未満のワクチン接種がスタートしておらず、ビザを受けた学生が1年以上も入国できていない状況。どうすれば大会に好意的になると考えられるか」との質問が飛んだ。

 これを受けてIOCのクリストフ・デュビ五輪統括部長は「(プレーブックで)十分検査をして厳密に追跡した人がやってくるんだということを明確にしたかった。この大会は何か特権を持ってやってくるわけではない」と説明。続けて「いずれ日本の方々の状況が改善されることを切望しており、同時にわれわれがコミットしている安全な大会を実現したいと考えている」と語った。

 また、組織委の中村英正ゲームズ・デリバリー・オフィサー(GDO)は「われわれの抱えている悩みの本質的なところをついた質問」とした上で「コロナは共通でありながら世界で状況が異なる。たとえば『緊急事態宣言』という言葉も『State of emergency』というとロックダウンをイメージする国もある。そういった言葉や文化も含めて違うことをきちんと伝えていかなければいけない」と指摘する。

 さらに、国内と海外の解釈の違いについては「日本の方、都民の方に向けてはこれだけ厳しい措置を取るので、安心安全を確保して大会を実現したいという思いを持っている。一方で同じ言葉を海外の方が聞くと、そこまで厳しくして大会ができるのかという考えを抱く人もいると思う。したがって国内と海外でメッセージが変わってしまうことは難しいが、五輪・パラリンピックが世界中の国が参加するイベントである以上、乗り越えなくてはいけない」と話した。

 感染対策はもちろんだが、開催には多くの理解を得ることも欠かせない要素だ。