高温で湿度が高い今の時期、ただでさえ疲れやすいのに、さらに今年はコロナ禍の影響でマスクを着用せざるを得ません。このことで熱中症に気が付きにくいという点も最近は指摘されています。


 まず熱中症とは体内の熱をうまく放散できず、体の中が脱水状態になることを指します。対策としては「渇く前に飲む」が基本です。よく患者さんでも熱中症を起こした方で「そんなに喉が渇いているとは感じなかった」という方も多いのですが、特に今年はマスクをしていることで口が渇かないため、水を飲むタイミングが分かりにくいです。この時期になったら、「1時間に1回はコップ1杯の水を飲む」をまずは習慣化させていただきたいということ。


 さらに今回、注目してもらいたいのはクエン酸です。夏場の疲労回復時によく聞くキーワード。なぜクエン酸が疲労回復に役立つかといえば、活性酸素による酸化ストレスを受けることが疲労の原因の一つだからです。クエン酸には抗酸化作用があり、肉体的疲労においては筋肉細胞、精神的疲労においては神経細胞がダメージを受ける中、このダメージ修復に役立つのです。

クエン酸にはほかにも体の組織や機能を調整しているミネラルの吸収をサポートする働きもあります。ミネラル摂取は熱中症予防にも大事な役割を果たしていることもあり、夏場にクエン酸を効果的に摂取することでより疲労回復に役立つというワケです。


 では、そのクエン酸をどのように取ればいいでしょうか。わかりやすいの

は部活の定番、レモン水です。レモンはクエン酸が多く含まれるフルーツランキングでもトップ。ビタミンCも豊富で免疫力向上効果もあるとあって、コロナ禍に苦しむ今夏は特に意識的に取っていただきたいもの。


 ただ、注意点としては、レモンに含まれるソラレンという物質は紫外線を受けるとメラニン色素を生成するため、外出する予定がある場合は帰ってきてから飲むほうがシミは増えません。


 ほかには梅干しもオススメです。お弁当に入れて手軽に食べてもいいですし、古くから伝わる梅醤番茶(梅干し+ショウガ+しょうゆ+番茶)はマクロビオティックでも取り入れられたりと健康効果はお墨付きです。梅干しのような発酵食品は整腸作用、レモンと同じく免疫力向上効果もあります。疲れやすいこの時期、まずはクエン酸パワーを利用して、疲れにくい体をキープしましょう。

☆工藤孝文(くどう・たかふみ)福岡大学医学部卒業後、糖尿病などの生活習慣病、甲状腺疾患などホルモンの疾患を専門に勉強。現在は福岡県みやま市の工藤内科で減量外来を含めた地域医療に取り組んでいる。「あさイチ」「ホンマでっか!?TV」などメディア出演も多数、「心と体のもやもやがスーッと消える食事術」(文藝春秋社)、「ざんねんな人体のしくみ」(青春出版社)など体のメカニズムに関する著作も多い。