京阪電鉄の電車を撮影するため大阪市内の線路内に立ち入ったとして、大阪府警は先日、鉄道営業法違反の疑いで、東京都の無職の少年(19)を家裁送致した。府警によると、少年は「撮り鉄」と呼ばれる鉄道ファンで、「他の撮り鉄に負けたくなかった。良い写真が撮りたかった」と容疑を認めている。

 送致容疑は、4月1日午後3時10分ごろ、大阪市旭区の京阪本線森小路駅のホームから線路内に入った疑い。

 近年、“暴走”が社会問題となっている撮り鉄のキーワードは「珍しい」だ。「めったに見られないような車両の編成」「引退間際の車両」などを指す。「さよなら運転」は、その最たるものだ。

 先月、高崎~大宮~八王子~松本~長野間で「小野上ホキ廃車回送」が行われた。回送されたのは、高崎車両センター高崎支所所属で小野上駅に常備するホキ800形貨車7両編成だ。

 乗り鉄の男性は「ホキは国鉄時代の象徴的な車両になります。この車両の廃車が決まり、回送されたことによって、高崎地区における機関車方式によるバラスト(線路に敷かれている砂利)輸送が終焉を迎えたことになります」と語る。

 回送されたのは、吾妻線の小野上駅に常備されていたホキ800形7両で、高崎~長野間を走った。

 ユーチューバーで乗り鉄の男性は「『EF64 1053』がけん引したのですが、これももうじき廃車になるものとみられています。小野上駅常備のホキはそれ自体が貴重ですが、ホキとEF64の奇跡の組み合わせこそ今撮っておくべき編成なんです」と興奮する。

 現在、宇都宮工臨(工事用臨時列車)や越中島工臨のホキはまだ残っているが、今回の廃車回送は、鉄道マニアからすれば大事件だった。高崎地区からホキが消滅するからだ。

 一般人からすれば「みんな同じじゃない」となるところだが、撮り鉄の心理としては「珍しい」となればカメラに収めなければならないのだ。