
平塚競輪場で開催されているS級シリーズは7日、最終日を迎える。A級決勝11Rで誰よりも燃えているのは地元の大砲・松坂侑亮(22=神奈川)だ。先月、亡くなった祖父の小峯功男(こみね・かつお=享年83)さんに届けるために――。
「オレたち兄弟の一番のファンだったんです」
応援してくれた祖父のために「今回はなんとしても優勝したい」と言葉に力をこめた。兄・洋平(38=神奈川)は昨年10月松戸記念の落車で大ケガを負い長期欠場中。そんな時に祖父の死があり「兄貴は次のGⅠ(川崎=全日本選抜)に向けてメチャクチャ気合入ってますよ。いい流れをつくるためにも、今回はオレが優勝を」と、2人で手向けの花を送るつもりだ。
そんな兄弟の秘話を、侑亮が明かしてくれた。「アマチュアの時は戸塚に住んでいて、平塚まで20㎞くらいあるんですよ。自走(自転車で移動)していると師匠には伝えていたんですけど、実はじいちゃんが車で送ってくれてたんです」。舌を出しながら、師匠でもある兄にこっそりズルをしていたと笑った。
少し、続きがある。「親に聞いたら、『洋平もそうだったよ』って(笑い)」。いつも明るく奔放で、何とも憎めないキャラクターの松坂兄弟。祖父の功男さんも「自由な人だったんで」とのことで、「たぶん、まだその辺で見ていると思います」とスタンドを指差した。
A級決勝11Rの相手には元S級の選手たちが揃ったが「今の自分がどれだけ通用するのか、試されていると思う。兄からも『ホームバンクでは絶対勝て』と言われているので」と、負けるつもりは毛頭ない。祖父に届ける優勝、地元GⅠを控える兄に送るエール…、必ず成し遂げてみせる。
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