ボクシングのWBAスーパー&IBF世界バンタム級統一王者の井上尚弥(27=大橋)が、こどもの日の5月5日、全国の子供たちへメッセージを発信した。

 緊急事態宣言の期間は当初の6日から今月末まで延長されることが決まり、多くの子供たちが新学期を開始できるめどが立たずにいる。そんな状況を「今、学校にも行けず、友達と遊ぶことも部活や習いごとに行くことも難しい状況が続いていると思います。新学期のスタートが切れず、不安を抱えている人も多いでしょう」と気遣った。

 一方で「家での時間がたくさんあるからこそ、自分なりの、自分にしかできない時間の過ごし方を見つけるのも大事なことだと思います。その時間がやがて、自分だけのノウハウや技術につながることもあるかもしれません。今積み上げたことは必ず未来の自分に返ってくると信じています」と前向きな言葉を送った。

 井上自身、2014年12月30日、WBO世界スーパーフライ級王者(当時)のオマール・ナルバエス(44=アルゼンチン)に2ラウンドKO勝ちして2階級制覇を達成した試合で、右拳を痛めて手術するアクシデントに見舞われた。

 同王座を11度防衛し、フライ級王座はV16を達成して一度もダウンの経験がなかったナルバエスから4度のダウンを奪い「モンスター」の名前を世界に広めるきっかけとなった矢先に、約1年ものブランクを強いられる経験をしている。

 それでも復帰後は同王座を7度防衛。その後、3階級制覇を果たし「積み上げたことは必ず未来の自分に返ってくる」の言葉を自ら証明している。

 その井上も、4月25日にラスベガスで予定されていたWBO世界バンタム級王者ジョンリル・カシメロ(30=フィリピン)との3団体王座統一戦が、新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期となり、先行きが見通せない状態が続いている。それでも「こんな時だからこそ前を向き、明るい未来が待っていると信じて一緒に頑張りましょう!」と呼びかけた。

 モンスターの強い心を見習って、前向きな気持ちで日々を過ごしたい。