敗北の将はどこへ。立ち技メガイベント「THE MATCH 2022」(19日、東京ドーム)で、K―1のエース・武尊(30)が〝キック界の神童〟那須川天心(23)に判定0―5で完敗を喫した。左のパンチでダウンを喫するなど神童のテクニックを崩せず、2012年6月以来の敗北で、通算戦績は42戦40勝(24KO)2敗となった。今後はかねて口にしていた通り、このままリングを下りる可能性がある一方で、意外なプランが浮上している。


 完敗だった。試合は1ラウンド(R)から一気に動く。那須川の的確なジャブでペースを握られた武尊は、終盤の左フックにカウンターの左ストレートを合わせられ、まさかのダウン。いきなり主導権を握られた。

 2Rでもバッティング、さらにもつれあった際に投げを放ってしまい口頭注意を受けるなど、思うような戦いができない。最終3Rは笑みを浮かべながらノーガードで前に出たが、最後まで鉄壁のディフェンスを崩すことはできなかった。

 結果は判定0―5。頂上対決に敗れた武尊は深々と頭を下げ、号泣しながら退場。コメントスペースでは「この試合を実現するために動いてくれた人たちと、支えてくれた人たちと、対戦相手の天心選手に心から感謝してます。信じてついてきてくれたファンの人たち、K―1のみんな、チームのみんな、そういう人たちには心から申し訳ないと思ってます」と口にするのがやっとだった。

 注目されるのは今後だ。これまで「負けは死を意味すると思っているので、もうやる資格はないのかなと思います」と敗戦後の即引退を公言していた。今回も試合前に「負けたら僕は選手をやる資格はないと思っている。格闘技はスポーツですけど、同時に命の取り合いだとも思っていて」と語っている。となれば、本当にリングを去ってしまうのか。

 そんな中で浮上する「第3の選択肢」が総合格闘技(MMA)転向だ。ある格闘技関係者は「天心はボクシングだけど、武尊は総合に行くんじゃないか。1年くらい前から総合の練習をしていると聞いているし…。アメリカにK―1にも出ていた選手のジムがあって、そこで(米MMAイベントの)UFCのチャンピオンとも手を合わせているとのことだ」と明かす。

 一般的に、MMAは立ち技よりも選手寿命が長いとされる。すでに準備を進めているとすれば、30歳からでも十分、間に合うタイミングと言えるだろう。ただし、肝心なのは本人の意思だ。実は武尊は那須川戦直前、MMA転向について聞くと「興味はありますね」とした上で、こう明言している。

「格闘技をやってきて、何でもありのルールというのは、僕の理想とする戦いというか。倒れたところにとどめを刺すところまでやるのは僕がやりたい格闘技の形だし、興味はあります」

 もしMMA挑戦となれば、引く手あまただ。国内ならRIZINはもちろん、K―1で総合格闘技ブランドを立ち上げる可能性も否定できない。しかも米国でも名を知られるだけに、候補は国内だけにとどまらない。

 別の関係者は「もし武尊がMMAに転向するとなれば、UFCも手を挙げると思いますよ。少なくとも(米MMAイベントの)ベラトールは間違いないと思う。代表のスコット・コーカーが武尊と天心にぞっこんと聞いている」と語る。

 引退か、それともMMA転向か――。その決断に注目が集まる。