桜庭和志 VS 秋山成勲の2006年「ヌルヌル騒動」 帝王・高山善廣との “絆” が世論を動かした!

2021年12月29日 06時15分

何度も秋山(左)へのタックルを狙った桜庭だが…(2006年12月31日、京セラドーム大阪=東スポWeb)
何度も秋山(左)へのタックルを狙った桜庭だが…(2006年12月31日、京セラドーム大阪=東スポWeb)

【大みそかバトル激闘史3】年末決戦には数々の〝事件〟があった。中でも記憶に残るのが、2006年のK―1「Dynamite!!」(京セラ大阪ドーム)で行われた桜庭和志 VS 秋山成勲で起こった「ヌルヌル騒動」だ。

 試合中にタックルにいくも、なかなか秋山の脚がつかめない桜庭は試合中にタイムを要求。「すごく滑る!」と抗議した。だがレフェリーには認められず、殴られるままに1ラウンド5分37秒、秋山のTKO勝ちで試合が終わった。

 事態が動いたのは年が明けた07年だ。桜庭サイドは抗議書をK―1側に提出。さらにUWFインター時代の桜庭の先輩である帝王・高山善廣が本紙のインタビューを通じて声を上げた。試合中の秋山の不審な点を次々と追及したのだ。

 高山は桜庭のデビューから1試合も欠かさず見ていたそうで「あんなに抗議したことは一度もない」と異変を察したそうだ。特に強調したのが「レフェリーが試合後に秋山の胸を触って、テレビのバカ解説者も『問題ないようですね』と言っていたが違うだろ。桜庭が滑ったのは(秋山の)脚じゃんかよ。上半身をチェックしてどうするんだよ」という点で、当時、業界関係者として堂々とこの問題に切り込んだのは高山が初だった。

 高山の告発は、大きな波紋を呼んだ。すると格闘技ファンも高山の勇気に賛辞を贈り、一気に風向きが変わった。2日後にはK―1が桜庭 VS 秋山の最終裁定を発表。故意ではないとしながらも、秋山が試合前にクリームを塗っていた事実を公表した上で、試合は「ノーコンテスト、秋山の失格」に訂正された。しかも秋山はファイトマネー全額没収の厳罰が下され、その後に謝罪会見を開いた。

「年末年始のマット界の総括を」というテーマで申し込んだ高山のインタビューでは当初、中邑真輔 VS 川田利明など9試合が行われた07年1月4日の新日本プロレス東京ドーム大会を中心に語ってもらうつもりだった。

 だが、高山の条件は「大みそかの桜庭について語らせてくれるなら取材を受ける」というもので、結果的にこれが後輩の無念を晴らす形になった。

 あれから15年。桜庭はプロレスラーとしてノアマットで活躍し、秋山は格闘家として現役を続けている。また、高山は頸髄完全損傷からの奇跡の復活を目指し懸命にリハビリに励んでいる。

 まさに高山と桜庭の〝絆〟が示された出来事だった。

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