立ち技メガイベント「THE MATCH 2022」で行われた那須川天心 vs 武尊が大きな話題となっている中、本来ならば19日夜、この試合を生放送する予定だったのが、フジテレビだ。直前になって見送りを発表し、代わりに「超ド級!世界のありえない最強映像2022」を放送したが、低視聴率に終わった。世紀の一戦の盛り上がりを受けて、局内からは案の定「やっぱり放送しとけばよかった…」と後悔の声が出ている。


 衝撃が走ったのは、大会を3週間後に控えた先月31日のことだった。フジは突然「主催者側との契約に至らず、フジテレビで放送しないことが決まりましたので、ここにお知らせします」と発表し、予定していた生中継を取り止めた。

 ポッカリと空いた枠で、19日午後8時から放送した「超ド級!――」は世帯平均視聴率6・3%と、同時間帯のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」や「ポツンと一軒家」(テレビ朝日系)、「世界の果てまでイッテQ!」(日本テレビ系)の半分ほどしか視聴率を取れなかった。

 一方、「THE MATCH 2022」は大会当日、インターネット放送ABEMAのPPVの値段は5500円と高額だったにもかかわらず、売り上げ50万件以上と、格闘技の歴史に残る数字を残した。予定通り、フジが生放送していれば、高視聴率を記録していたのは間違いない。

 あまりの〝惨状〟に、フジ局内から恨み節が出るのも無理はない。

「いろいろとややこしい事情があったのは分かっています。ただ、日本格闘技の集大成のような一戦であり、頑張って問題をクリアして何としてでも放送したかったというのが本音。局内でも同様の意見は複数出ている。〝世紀の一戦〟と言われた試合がこれだけ盛り上がったことを考えると、いったいどれだけの視聴率を取っていたのか、見てみたかった」(フジ関係者)

 最近のフジは、とにかく混迷を極めている。4月にスタートしたバラエティー番組「呼び出し先生タナカ」は、「めちゃ×2イケてるッ!」(18年終了)の人気コーナー「抜き打ちテスト」とそっくりだとして大炎上。芸人からも厳しい声が上がる事態となっている上、視聴率も振るわないため、早くも打ち切りがささやかれている。

 フジでは6月末の株主総会と取締役会をもって、全盛期のバラエティー番組で名を馳せた港浩一氏が新社長に就任する。ここ10年で、実に5度目の社長交代となる。やることなすこと裏目に出るフジだが、新社長のもとで負のオーラを払拭できるのか?(視聴率は関東地区、ビデオリサーチ調べ)