元大阪府知事の橋下徹弁護士が25日、「めざまし8」(フジテレビ系)で、北海道・知床半島沖で観光船の沈没事故について言及した。

 乗客乗員26人が乗った観光船は23日午後1時15分ごろ「船首部分が浸水している。エンジンが使えない。救助してほしい」との救助要請。午後2時ごろには「船首が30度ほど傾いている」との連絡後、通信が途絶えた。これまでに10人が救助されたが、全員の死亡が確認された。24日夜には新たに子供1人が意識不明状態で救助された。

 事故の背景について、当時は3メートルの高波の状態で、地元の漁師は強風で漁をやめて帰港するほどだったことや、通常GW(ゴールデンウイーク)ごろから運航が開始されるのに、事故を起こした観光船の会社は他社に先駆けて運航を開始したことなどが判明。別の観光船の乗員は番組の取材に「僕は止めました。海上が悪くなるからやめた方がいいよと。(船体に十数センチの)亀裂が入っていたのは間違いない」と証言した。この観光船は昨年5月に浮遊物に衝突する事故、同6月に座礁事故を起こし、船長は書類送検されていたこともわかった。

 橋下氏は「法的には過失の有無が問われると思うんですが、海の上では船長の判断がものすごく重要で、それを事細かくルール化するというのは不可能だと思う。気象条件や波の高さ、船の状況、みんな違いますから。となれば、地域によっては複数の船で出るということはルール化できると思う。僕もこのツアー、体験したことがあるんです。救命胴衣を来て、崖もそんなに遠いという感じもしないし、甘く考えてましたね。観光客からすれば、船長から言われれば、そういうもんかと思ってしまう。僕が乗った時には複数の船がたくさん出ていたので安心感があった。どういう場所で複数の船が出るかを国が全部把握することはできないので、こういう時こそ地方分権ということで、北海道、根室市など自治体が『複数の船で出てくださいね』とルール化できると思う」と今後の対応策を提案した。

 番組MCの俳優・谷原章介は「観光船の組合等で話し合う問題かもしれません。もう一隻でも出てれば、救えた命があったかもしれない。運営会社はコロナ禍の負債をなんとか取り戻したい思いがあったんでしょうか」と疑問を呈していた。