【直撃!エモPeople】「英国代表」として世界の大舞台に立つ。世界最大のプロレス団体WWEで、多くの日本人選手が活躍する中、現在唯一シングル王座を保持するのが“女子プロレス界の横綱”ことWWE NXT・UK女子王者里村明衣子(42=センダイガールズ)だ。次々と挑戦者が続出する状況で無敵の快進撃を続けるファイナルボスは、さらに壮大な夢へと向かっている。英国滞在中の里村に現在の胸中と今後について直撃した。
――「英国移住」から1年3か月。7度王座防衛中だ
里村 次から次へと挑戦者がアピールしてくる。それが日本のレスラーのやり方とは違う。UK女子は挑戦権を得るにはどうしたらよいかを常に考えていて、皆が毎回やり方を変えてくる。逆に緊張感があってやりがいがあります。
――今が全盛期だ
里村 歳を過ぎてから自然にチャンスが巡ってきている。東日本大震災後にWWEに書類を送って門前払いされて以来、自分から売りこんだことはない。ここ5年間、私は自身で英国や欧州の団体を回って実績を作って声がかかったので幸運だと思う。年俸に関しても今が過去最高。やってきたことが報われた気持ちです。
――NXT・UK女子の現状は
里村 人ほどの選手がいる。ノンタイトルで勝った選手や、挑戦を表明しているニーナ・サミュエルズ、タッグを組んでいたエミリア・マッケンジー、今欠場中のイーファ・ヴァルキリーもいる。層が厚いので油断はできません。
――昨年6月にケイ・リー・レイから王座を奪って王座在位期間も300日になった
里村(前王者の最長記録)649日ってほぼ2年。最初はとてつもない数字に思えましたが、今は記録更新が視野に入っています。あと1年…必ず達成したい。
――現在の日常は
里村 朝は7時半に起きて軽めの自主練習をしてから、仙女の会社の事務をチェック。道場では時から時半までが女子の練習時間。欧州各国から選手が集まっているので、月に一度は2週間半休みなしでホテルに泊まり込み、キャンプ状態で練習をやってます。スパーリング先行なのでかなりハードです。
――独特の文化もある
里村 NXT・UKはプライドを持っていて、昔からの英国の伝統である「キャッチ・アズ・キャッチ・アズ・キャン」(英国独特のサブミッション中心のレスリング)が若い選手にも当然のように浸透している。私はこのスタイルに昔から憧れていて、ビル・ロビンソンさんに教わりに行っていました。若い選手にも積極的に「教えて」とお願いしてます。皆、英国のプロレスに自信を持っている。米国のWWEを見上げるのではなく、私は米国からNXT・UKに行きたいという選手が増えるようにしたいし、逆に米国の選手から「メイコ・サトムラと戦いたい」と言われるようになりたい。
――英国ツアーが再開する日が待たれる
里村 潜在的な爆発力は凄い。こちらはまだテレビ局内の収録で、観客を入れることには厳重体制のため、先日ようやく100人ほどのお客さんを入れて試合をしたんですが、無観客に慣れ過ぎて驚くような熱気で感動しました。本来なら英国の大会場をツアーするんですよね。ロンドンのロイヤル・アルバート・ホール(英国伝統の歴史的会場)とか…。先日、WWEのO2アリーナ公演を見に行ったんですが中邑真輔さんはやっぱり凄かった。ロイヤル・アルバート・ホールやO2アリーナでもぜひやってみたいですね。
――かつてのライバル紫雷イオと前王者レイがNXT女子タッグ戦線で大活躍中だ
里村 刺激になる。特にイオはNXTに欠かせない存在になった。あそこまで自分の立場を確立したのは凄い。私から見てもカッコいい。いつかまた交わりたいですよね。でもUKで結果を出すのが優先。まず英国で自分の名前を不動のものにしたい。
――祭典「レッスルマニア」初出場という究極の夢もある
里村 レッスルマニアに出られる人は選ばれたごくひと握りで、簡単には出られない大舞台。そこに出たアスカ、中邑さん、カイリ・セインっていうのはやっぱり凄い。自分としては…やはりチャンスが巡ってきたら当然出たいです。誰もが憧れる最高の舞台ですから。出られるならばあくまでNXT・UKの「英国代表」として大舞台を踏んでみたい。
――最近のオフは
里村 常に英国でビジネスを成功させることを考えてます。こちらはビーガン(動物性の食事を避ける)が多い。仙台でお米(農米姫)を作っているので、そこは強みです。何か新たな製品を作れないかと考えたり、新潟の枝豆(茶豆)はおいしいのでどうにか商品にして輸入できないか考えてます。英国の枝豆需要はもっとあると思う。とても楽しいですよ(笑い)。
――根っからの東北の女鬼社長だ…。WWEの熾烈な競争は続くが、自身の姿勢は変わらない
里村 常に危機感を感じていますが、むちゃくちゃいいことだと思います。スターの座は一握りしかつかめない。WWEは回転が速いので、日本の長期終身雇用とは真逆の世界で、様々なことがハッキリしている。でも歳という年齢でチャンピオンって、世界中でもそういない。私はさらに高いステージを目指して「英国の里村」として新しい歴史を開拓していきたいと思います。
☆さとむら・めいこ 1979年11月17日、新潟・新潟市出身。長与千種率いるガイア・ジャパン95年4月15日後楽園大会の加藤園子戦でデビュー。2001年12月にAAAWシングル王座獲得。ガイア解散後、06年7月にセンダイガールズ旗揚げ。現WWEのアスカや紫雷イオと激闘を展開。11年に社長就任。15年7月にスターダムのワールド王座獲得。19年5月からWWE・NXTの臨時コーチ就任。21年1月にWWE NXT・UKと契約。6月にケイ・リー・レイからNXT・UK女子王座獲得。157センチ、68キロ。得意技スコーピオ・ライジング。












